健康情報: 6月 2007

2007年6月6日水曜日

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)

方極
急迫して狂驚を発する者を治す。
方機
心中煩躁し、悲傷して哭せんと欲し、腹中濡なる者(紫円或は解毒散兼用)。
類聚方廣義
蔵は子宮也。此方の蔵躁を治するは、能く急迫を緩むるを以て也。嬬婦、室女にて、平素憂鬱、無聊にして夜々眠らざる等の人、多くは此の症を発す。発すれば 則ち悪寒発熱、戰慄錯語、心神恍惚として居るに席を安ぜず酸泣すること已まず此の方を服すれば立に効あり。 又癇症、狂症前症に髣髴たる者亦奇験あり。
勿誤薬室方凾口訣
此の方は婦人藏躁を主とする薬なれども凡て右の腋下臍傍の邊に拘攣や結塊のある處へ用ゆると効あるものなり又小児啼泣止まざる者に用いて速効あり又大人の癇に用ゆることあり病急なる者は甘を食い之を緩むの意を旨とすべし。
方與睨
男女老少に拘らず妄りに悲傷哭する者に一切之を用いて効あり。甘草・大棗は窮迫を緩めるなり小麦は霊樞に心病小麦を食うに宜しと云い千金に小麦心気を養うと云う凡そ心疾にて迫る者に用いて可なり。 (皮付き小麦を用う?)
古方便覧
急迫して狂の如く悲傷するものを治す。
小倉重成
神経症様症状、強い煩躁。

勿語薬室方函口訣』
婦人藏躁を主とする薬なれども凡て右の腋下剤傍の辺に拘攣や結塊のある処へ用ると効あるもの也又小児啼泣止まさる者に用て速効あり又大人の癇に用ること有 病急者食甘緩之の意を旨とすへし先哲は夜啼客忤左に拘攣する者を柴胡とし右に拘攣する者を此方とすれども泥むへからす客忤は大抵此方にて治するなり
※忤:ご、さからう

『臨床応用 漢方處方解説 増補改正版』 矢数道明著 創元社刊
27 甘麦大棗湯 ヒステリー・ノイローゼ・夜啼症・癲癇・舞踏病・子宮痙攣・・・・・・・・・・一〇八
27 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう) 〔金匱要略〕
   甘草 五・〇  大棗 六・〇  小麦 二〇・〇

〔応用〕神経の興奮の甚だしいものを鎮静させ、また諸痙攣症状を緩解させるときに用いる。
 本方は主としてヒステリー・神経衰弱・ノイローゼ・幼児夜啼症・不眠症・癲癇等に用いられ、また舞踏病・チック病・精神病(鬱病・躁病)・泣き中風・笑い中風・夢遊病・胃痙攣・子宮痙攣・痙攣性咳嗽・蛔虫による腹痛と嘔吐、また方後に脾気を補うとあるにより、胃腸弱く疲れやすく、あくびを頻発するという病証な体どに応用する。

〔目標〕両腹直筋、とくに右側腹筋が攣急し、脳神経系統に急迫の状あるものを目標とする。
 金匱の条文に「婦人臓躁」とあって、これは今日のヒステリー、あるいは躁鬱病などに相当し、ゆえなく悲しみ、些々たることにも涕泣し、不眠に苦しみ、甚だしいときは昏迷、または狂躁の状を呈し、あくびを頻発するなどの症状を目標とする。
 本方は婦人にはよく効くが男子には効かないといわれているが、必ずしも決定しがたい。主として婦人に適応するものであるか、男子でも女性的な病症を呈するものには用いてよい。

〔方解〕 構成薬物はきわめて簡単なものばかりで、みな甘味の剤、急迫を緩め、心気を養うというものである。
 甘草も大棗も緩和の薬で、切迫した筋の拘攣・神経の興奮・諸疼痛等を緩解し、小麦も緩和鎮静の能があり、とくに心を養い、脳神経の興奮を静める作用がある。
 また方後に脾気を補うとあるが、龍野一雄氏は、「甘草も大棗も味甘く、脾気を補うものと解釈される。また甘草は表裏の急迫を緩め、大棗は胸部と腹部に作用し、腹は脾、胸は心を補い、肺を潤し、小麦は心気を養い、また肝気の虚を補う働きがある」といっている。相見三郎氏、精神身体医学的運用(日東医会誌 二八巻一号)。

〔主治〕
 金匱要略(婦人雑病門)に、「婦人蔵躁、喜悲傷シテ哭セント欲シ、象神霊ノ作ス所ノ如ク、数欠呻ス」とあり、
 類聚方広義には、「臓ハ子宮ナリ、此ノ方ノ蔵躁ヲ治スルハ、能ク急迫ヲ緩ムルヲ以テナリ。孀婦(未亡人・やもめ)、室女(未婚の処女)平素憂鬱無聊ニシテ夜々眠ラザル等ノ人、多クハ此ノ症ヲ発ス。発スレバ 則チ悪寒発熱、戦慄錯語、心神恍惚トシテ居ルニ席ヲ安ゼズ、酸泣(悲しみ泣く)スルコト已マズ。此ノ方ヲ服スレバ立チニ効アリ。 又癇症、狂症、前症ニ髣髴タル者マタ奇験アリ」とあり、
 方輿輗には、「此ノ方ハ金匱ニ婦人蔵躁トアレドモ、男女老少ニ拘ワラズ、妄リニ悲傷哭スル者ニ一切之ヲ用テ効アリ。蓋シ甘草、大棗ハ急迫ヲ緩メルナリ、小麦ハ霊枢ニ心病宜シク小麦ヲ食ウベシト云イ、千金ニ小麦ハ心気ヲ養フト云フ、凡ソ心疾ニテ迫ル者ニ概用シテ可ナリ 。
 近頃一婦人アリ、笑テ止マズ、諸薬効ナシ。ココニ於テ余沈思スラク、笑ト哭クトハ是レ心ニ出ルノ病ナリト、因テ甘麦大棗湯ヲ与フルニ不日(日ならず、やがて)ニシテ癒ユルコトヲ得タリ」と。
 また「此レヲ用イ、児ノ啼哭(夜啼き)ヲ治スルコト甚ダ多シ。此レ本婦人蔵躁ヲ療スルノ方ナリ、然ルニ嬰児ニ利アルコト又此ノ如シ。凡ソ薬ニ老少男婦ノ別ハナキモノナリ。婦人ト云イ、小児ト称スルモ、必ズ拘執スルコト莫レ」とある。
 勿誤方凾口訣には、「此ノ方ハ婦人蔵躁ヲ主トスル薬ナレドモ、凡テ右ノ腋下臍傍ノ辺ニ拘攣ヤ結塊ノアル処ヘ用ユルト効アルモノナリ。又小児啼泣止マザル者ニ用イテ速効アリ。又大人ノ癇ニ用ユルコトアリ、病急ナルモノハ甘ヲ食イテ之ヲ緩ムノ意ヲ旨トスベシ」とある。

 〔備考〕
 (1) 蔵躁の義は子宮とする説と、医宗金鑑のように心臓とする説とがある。いずれにもとれることがある。
 (2) 喜(しばしば)と読むのが普通であるが、あるいはよろこぶと読み、腹証奇覧のように、或は喜び、或は悲しみ、或は笑い、或は泣き、その状狐狸の憑きたるが如しと解釈するものもある。
 (3) 山田業広や宇津木昆台のごとく、本方は婦人には効くが男子には効かないといっている人もあり、有持桂里のように、これを否定している人もある。著者も分裂症の一七歳の男子と、てんかんの一六歳の男子に用いて奏効したことがある。

〔鑑別〕
半夏厚朴湯118(神経症○○○・気鬱、咽中炙臠) ○柴胡加竜牡湯44(神経症○○○・心下痞硬、臍上動悸) ○甘草瀉心湯119(神経症○○○・心下痞硬、下痢、腹中雷鳴) ○苓桂甘棗湯(神経症○○○・心悸亢進)

〔治例〕
 (一) 外傷後のひきつけ
 小学校三年の女子。誤って転落して頭を強打し、人事不省に陥ること三日に及んだ。覚めてみると右半身不随となり、一昼夜に数十回も角弓反張(全身痙攣)の発作を起こして人事不省となる。覚めてみると、あくび頻発し、言語は不明瞭、諸治療をうけたが効がなかった。診ると全身に軽度の浮腫があり、脈はやや数、右腹直筋の攣急が強度で棒のようである。本方一ヵ月間服用ののち発作が減少し、一〇ヵ月で全治した。
(大塚敬節氏、皇漢医学要訣)

 (二) 猛烈な癲癇発作
 一六歳の男子。一見頑健そうに見える。幼時脳膜炎にかかった。八歳のときから癲癇の発作を起こし、年とともに激しくなった。諸治療をうけたが治らず、ついに信仰に頼り、懺悔と祈りの行に励んでいた。しかし読経に熱中すればするほど発作が激しく、これは祖先の霊のたたりであると信じている。
 脈は弦で、腹筋は緊張拘急し、肝臓が腫大し、圧痛がある。初め柴胡清肝散効なく、次に柴胡加竜牡湯を与えたが無効。再び柴胡清肝散にすると発作はいよいよ激しく、連続昏睡が三時間も続き、三日三晩発作の連続であった。
 そこでこの急迫的発作と、その行動が神がかりの状態であるので、甘麦大棗湯にした。
 これをのむと夢からさめたように発作はやみ、二ヵ月間続けているうちに、軽い発作が二度起こっただけで性格も一変して従順になった。このような猛烈な発作に柴胡剤や黄連解毒剤のような苦味は適当せず、甘味のあっさりしたものがよいようである。 (著者治験 漢方百話)

 (三) 鬱病
 戦後二年ほど経たころ、茨城の田舎で往診した。一七歳の頑健そうな男子である。半年ほど前から学校を休んで、呆然として毎日を過ごすようになった。何事をするにも意欲がなく、いかにも物憂い態度である。
 この患者の特徴として、午後四時になるときまって自ら一室に入り、何事かを悲しむがごとく、さめざめと泣き続け、一時間ほどするとやみ、部屋から出てくるというのである。
 患者は全く無表情で、自ら容態を訴えようとはしない。脈は特記すべきものはないが、腹部は堅く、板のように張りつめている。
 婦人ではないが、しばしば悲しんで泣くという。その様はあたかも憑きものでもついたようで、毎日きまって一室に入って泣くということが、「喜悲傷哭せんと欲し、象神霊のなすところのごとし」に相当するものとして、甘麦大棗湯を与えたところ、二ヵ月ほどで泣くことはやみ、漸次回復した。  (著者治験)

※涕泣(ていきゅう):涙を流して泣くこと。



甘麦大棗湯の不思議
 甘麦大棗湯は甘草、小麦、大棗の3味からなる非常に単純な漢方薬です。強い鎮静作用があり、不安感の強い場合に大変よく効く処方です。先日も不安感が強く、いてもたってもいられない中年の女性にこの薬を頓服として処方したところ、1週間後には晴れ晴れした顔で来院し「あの薬は大変良く効きました。できれば1日3回飲ませてください。」といわれました。この方に限らず、外れのない薬として私は頻用しています。
 この3味からなる単純な漢方薬のどこにそんな力があるのか、誰しも不思議に思います。甘草、大棗は多くの漢方薬に含まれているありふれた生薬ですし、小麦は使われることの少ない生薬ですが、何といっても小麦です。この薬を処方すると皆さん甘くて飲みやすいとおっしゃいます。甘草も大棗も甘味のある生薬ですので、小麦が入ったとてかなり甘味が前面に出た処方です。甘味は人を幸福にする味覚といわれています。この甘味こそ甘麦大棗湯の面目ではないでしょうか。不安で落ち着かない時、人は甘味を求めるのでしょう。
 14gも入っている小麦の作用は何なのかわかりませんが、小麦の含まれている厚朴麻黄湯には鎮静作用があまりないことから、小麦に特に鎮静作用がある訳でもなさそうです。しかし甘草と大棗の入った大多数の処方にはもちろん鎮静作用がないことから、甘草と大棗だけではだめで、甘草、小麦、大棗の3味が合わさって初めて鎮静作用が出現するようです。不思議ですね。
 西洋薬の安定剤と違って甘麦大棗湯では眠気はおきません。一度使ってみるとその効果の確かさに驚き再び使ってみたくなる薬です。本当に甘麦大棗湯は不思議な薬です。
慈温堂遠田医院(雨宮修二)



甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)

甘麦大棗湯は『金匱要略』下巻婦人雑病篇第22が出典である。本書は3世紀初の張仲景が編纂した『傷寒雑病論』の雑病部分に由来し、北宋代に伝わっていた不完全な伝写本から一種の復元作業により、1066年に初めて校定・刊行され世に広まった。

 『金匱要略』の書式からして甘麦大棗湯はこの校刊時に増補された処方ではないが、仲景の書に由来する『傷寒論』などには記載がない。類文があるのは仲景の書を集成して後世に伝えたとされる、3世紀末の王叔和が編纂した『脈経』巻9の第6篇くらいだろう。

 さて『金匱要略』の主治条文は、「婦人の蔵躁、しばしば悲傷して哭せんと欲し、かたち神霊のなす所の如く、しばしば欠呻す。甘麦大棗湯これを主る」と記す。一方、『脈経』では「蔵躁」が「蔵燥」、「甘麦大棗湯」が「甘草小麦湯」となっている。『金匱要略』の甘麦大棗湯は甘草・小麦・大棗の3味を湯とするので、方名はまさしく読んで字のごとし。

 他方、『脈経』の「甘草小麦湯」は薬味を記さず、それが甘草・小麦の2味だったとは速断できない。というのも『金匱要略』の主治条文以下、構成薬味文の冒頭は「甘草小麦大棗湯方」と記すので、その大棗を略して甘草小麦湯と呼んだ可能性も十分考えられるからである。

 蔵「躁」と蔵「燥」については、山田業広『金匱要略札記』に詳細な考証がある。これによると古くは子宮が蔵と呼ばれたこともあるので、子宮の血が乾燥している意味になる『脈経』の「蔵燥」に妥当性が高いという。至当な解釈といえよう。

 ちなみに小麦や大麦を使う処方は『金匱要略』に計5首あるが、前2世紀の出土医書に漠然とした麦の記載が1回あるのみで、『傷寒論』など漢代の他医書や薬書には記述すらない。本草書では4~5世紀の『名医別録』から小麦・大麦を収載するので、麦類の薬用開発はそう早くないらしい。とするなら甘麦大棗湯の出典は『金匱要略』であるにしても、仲景~叔和ころの創方だった可能性も疑っておくべきだろう。

真柳 誠「漢方一話 処方名のいわれ67-甘麦大棗湯」『漢方診療』18巻1号4頁1999年1月


『漢方精撰百八方』 相見三郎著
甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
[方名] 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
[出典] 金匱要略   
[処方] 甘草5.0  大棗5.0 小麦20.0
[目標] 婦人蔵躁(ふじんぞうそう)、喜悲傷哭(きひしょうこく)せんと欲し、象(かたち)神霊の作す所の如く、しばしば欠伸(けっしん;あくび)す、というのが目標で、蔵
はヒステリーのことであるがら、ヒステリーの発作を起した時や、夢遊病のようなものに応用される。
[応用] ヒステリー症の発作。子どものねぼけ。舞踏病。
[かんどころ] この薬方はあまり日常用いられない。一般に漢方ことに古方の処方は証を厳密につかまないと適確な効果を得られないものであるが、この甘麦大棗湯はあまりはっきりした証がつがめないので用法が困難である。それであるからヒステリーの症状の場合でも、若し腹証を診て胸脇苦満があるようならば、むしろ小柴胡湯の類方をやった方が確実である。
 つまり腹証などに特にはっきりしたもののない場合で、神経症またはヒステリーの診断のついたものにこの甘麦大棗湯を使ってみるとよい。勿誤薬室方函口訣(ふつごやくしつほうかんくけつ)には本方の腹証として右の腋下臍傍の辺に拘攀や結塊のあるものに用いると効があるとあるが、瘀血の証のことを言つているのであろうか。
[応用例] 矢数道明氏は本方を癲癇発作の猛烈なものに用いて卓効を得たと漢方百話に報告している。また、大塚敬節氏は「漢方治療の実際」の中で本方は右腹直筋のひどく突っぱっているものに効があるという。
 小児が夜中にふと起きて家の中を廻り歩きまたふと寐床に入って眠り、翌日そのことを知らないようなものに用いるとよいという。また、夜中に突然胸元が苦しくなつて喘でもなくアイ気でもない、今日でいえばヒステリー球のようなものに効があったという報告がある。
 治験例。四十才の独身の婦人で、看護婦をしていた者で、不眠症にかかり、自分勝手に新薬をむやみにのんでいるうちに、起き上ろうとすると目まいがしてふらふらとたおれそうになる。そんなふうで、たった一人でアパートに病臥して、自分で電気をつけることも出来ない。金もないので施療することとし、甘麦大棗湯をやったが二十日分ぐらいでどうやら自分で身の廻りのことが出来るようになった。
 四十五才の男。長年ノイローゼ状態でー寸仕事につくとすぐやめてしまい、蒲団をがぶって寐ている。ひげもぼうぼうと生やしっぱなしで、殆んど周囲に無関心という無表情さである。甘麦大棗湯をやったところ、のそのそと起ぎ出して画をかいたりなにかしだしだ。   


漢方診療の實際 改訂第一版』大塚 敬節、矢數 道明、清水 藤太郎 著 南山堂刊
甘麦大棗湯
 本方は神経の興奮の甚しいものを鎮静し、諸痙攣症状を緩和する効がある。婦人に効が多く、男子には効をみることがまれである。最も屡々ヒステリー・神経衰弱症に用いられ、患者は故なくして悲しみ、些々たることにも涕泣し、不眠に苦しみ、甚しい時は昏迷または狂躁状を呈するに至る。また癲癇及び精神病等で、発作が猛烈で間断ない激症に用いて奇効がある。腹は多くは両腹直筋が板の如く拘急しているが、中には軟弱のものもある。
 本方中の甘草・大棗は緩和剤で、非常に切迫した筋の拘攣・神経興奮・疼痛等を緩和する。
 以上の目標を以て此方は、ヒステリー・神経衰弱・小児夜啼症・不眠症・癲癇・舞踏病・精神病・胃痙攣・子宮痙攣・痙攣性咳嗽・蛔虫による腹痛・嘔吐等に応用される。



漢方薬の実際知識』 
東丈夫 村上光太郎 著 東洋経済新報社刊 
 5 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)  (金匱要略)
 〔甘草(かんぞう)五、大棗(たいそう)六、小麦(しょうばく)二十〕
 本方は、神経の興奮のはなはだしいものを鎮静し、諸痙攣症状を緩解する作用がある。したがって、腹直筋が攣急し、精神不安で泣いたり、筋肉が不随意運動したりするものを治す。また、躁うつ病に用いられる。
 〔応用〕
 つぎに示すような疾患に、甘麦大棗湯證を呈するものが多い。
 一 ヒステリー、神経衰弱、精神不安、ノイローゼその他の精神、神経系疾患。
 一 そのほか、小児夜啼き、夢遊病、中風、胃痙攣、子宮痙攣など。

甘麦大棗湯については、下記のサイトもご参考下さい。
甘麦大棗湯 と うつ(鬱)
http://kenko-hiro.blogspot.com/2010/09/blog-post_20.html


【参考】
うつ(鬱)に良く使われる漢方薬
http://kenko-hiro.blogspot.com/2009/04/blog-post_23.html