健康情報: 11月 2007

2007年11月28日水曜日

温経湯

温経湯(うんけいとう)

〔出典〕金匱要略
〔処方〕呉茱萸、半夏、麦門冬各3.0g 川芎、芍薬、当帰、人参、桂枝、阿膠、牡丹皮、生姜、甘草各2.0g
〔目標〕1,五十才ばかりの婦人で、子宮出血が数十日もやまず、日暮れになると熱が出て、下腹が引きつれ、腹が張り、掌がぽかぽかと熱っぽく唇が乾燥するもの。
2.冷え性の婦人で、下腹が冷たく、永い間妊娠しないもの、またこのような婦人で、子宮出血が多かったり、月経が多量に下ったり、また月経の不順があるもの。
〔かんどころ〕全体に皮膚ががさがさしている。殊に唇が乾き、掌も乾燥して熱っぽい。それでいて冷え性で月経異状がある。
〔応用〕更年期出血。指掌角皮症。上肢殊に手の甲、掌、指に限局する湿疹。月経困難症。不妊症。
〔治験例〕
1.進行性指掌角皮症
 三十二才の主婦、三年前より掌が荒れ、殊に右側の掌は、指紋が消失し、がさがさに乾燥し、冬は殊に増悪する。某病院の皮膚科の治療を受けているが、治らないという。
 栄養、血色、普通。月経は正調、腹診上も、特に変化無く、ただ腹直筋が下腹でやや緊張しているだけである。口唇は乾燥する気味だという。
 そこで温経湯を与えたところ、十日目頃より効果が現れ、二ヶ月あまりで全治した。
2.不妊症。
 結婚後十四年になるも、妊娠しないという三十四才の婦人。栄養、血色ともに普通、ただ冷え性で、腰のあたりが殊に冷え、冷えると腰痛を訴える。月経は正調にくるし、困難症はないが、量が少ない。手の指と甲に湿疹があり、時々憎悪すると、かゆくなる。患部は乾燥して、がさがさしている。
 腹部は一体に緊張が強く、左右の下腹に圧痛がある。
 はじま当帰芍薬散料を与える。服薬一カ年に及ぶも、何の変化もない。そこで桂枝茯苓丸料とする。これをのむと、気持ちが悪いという。そこで温経湯に転方。これをのみはじめると、湿疹が先ずよくなった。月経の量が多くなった。服薬三カ年にして妊娠、めでたく無事分娩。   
漢方精撰百八方 大塚敬節




商品名製造販売元
発売元又は販売元
一日製剤量(g) 添加物 剤形 効能又は 効果 用法及び用量 半夏(ハンゲ) 麦門冬(バクモンドウ) 当帰(トウキ) 川芎(センキュウ) 芍薬(シャクヤク) 人参(ニンジン天: 桂皮(ケイヒ) 阿膠(アキョウ) ゼラチン 牡丹皮(ボタンピ) 甘草(カンゾウ) 生姜(ショウキョウ) 呉茱萸(ゴシュユ)
1 コタロー温経湯エキス細粒 小太郎漢方製薬 12.0 ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプ ン、乳糖水和物、プルラ ン、メタケイ酸アルミン 酸マグネシウム 細粒 冷え症で手掌がほてり、口唇が乾燥しやすいつぎの諸症に用いる。 指掌角皮症、更年期神経症、月経不順、月経過多、月経痛、頭痛、腰痛、帯下。 食前又は食間
2~3回
4.0 4.0 3.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 0.5 1.0
2 ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用) ツムラ 7.5 日局ステアリン酸マグネ シウム、日局乳糖水和物 顆粒 手足がほてり、唇がかわくものの次の諸症: 月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ 食前又は食間
2~3回
4.0 4.0 3.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 1.0 1.0