健康情報: ガン治療に使われる漢方薬・民間薬・健康食品類

2008年11月28日金曜日

ガン治療に使われる漢方薬・民間薬・健康食品類

1.白英(びゃくえい・はくえい)、蜀羊泉(しょくようせん)
ヒヨドリジョウゴ(ナス科の蔓(つる)性多年草)の全草
特に子宮ガンや乳ガンに良い
苦いので飲みにくい
  書物によっては有毒となっているが、実際は毒性は問題とならない。

2.薏苡仁(よくいにん)
ハトムギ(イネ科の一年草)の種子
皮膚ガンや乳ガンが体表面に表れたものなど表皮のガンに効く
イボ取りの妙薬として有名

3.梅寄生(ばいきせい)
ウメノキタケ(サルノコシカケ科)の子実体(しじつたい)
サルノコシカケ類を使う時は、縦断面の肉質を見て、縦の繊維質のものを選ぶ。
サルノコシカケには、カサの縦断面(木に向かって放射線状に、縦に切断した面)を見ると、肉質部が縦の繊維質のもの、つまり、細い針のような茶褐色の組識が連続しているものや、肉質部が綿状のものなどがあります。中には、厚い皮のような組織が層をなしているものもあります。効果・作用からそれらを比べると、抗潰瘍・抗腫瘍活性では、一番強いのが縦の繊維のもので、次いで層をなしているものが強く、最も弱いのが綿状のものです。綿状のものには、逆に腫瘍をつくるのてはないかと思わせるような作用があるものもあります。ちなみに、梅の木にできるウメノキタケ(梅寄生)は、縦の繊維質のものしかできません。
特に胃ガン、大腸ガンなどの消化器系のガンに良い

4.夏枯草(かごそう)
ウツボグサ(シソ科の多年草)の花穂(かすい)
ウルソール酸、プルネリンが含まれる。
リンパの流れを良くし、消炎・利尿・排膿剤として使われる。
瘰癧(るいれき)(リンパ節の腫れ)、腫物、浮腫に応用される。
1日30g

5.山豆根(さんずこん、さんづこん)
ミヤマトベラの根
1日5~10gを煎じて服用。
解熱・鎮痛・解毒剤
のどの腫痛、痔、便秘などにも効果

6.射干(やかん)
ヒオウギの根茎(種子でも良い)
1日3~10gを煎じて服用。
舌ガンや咽頭ガンの症状の緩和に効果があるので補助療法として使う。


7.赤芽柏(あかめがしわ)
アカメガシワの樹皮
1日3~10gを煎じて服用
茎葉を用いる時は大量を使う。
各種のガンに良い

8.藤瘤(とうりゅう・ふじこぶ)
フジ(Wisteria floribunda)(マメ科の蔓性落葉低木)の樹皮にできている瘤(こぶ)を用いる。
イソフラボノイドに発癌抑制作用がある。
藤瘤・菱実(ひしの実)・訶子(カシ、ミロバラン)・薏苡仁(ヨクイニン、はとむぎ)を組み合わせたものが、
WTTCとして、知られている。
下記のWTTCの項参照。

9.菱実(りょうじつ)
ヒシ(ヒシ科の一年草)の果実
滋養強壮、止痛、解毒作用がある。
抗ガン作用もあると言われ、胃ガン、子宮ガン、乳ガンなどに利用される。

10.訶子(かし)、訶梨勒(かりろく)
ミロバラン(シクンシ科の落葉樹)の果実
タンニンやエラグ酸などを含み、収斂止瀉(しゅうれんししゃ)作用がある。

11.ヒメヒオオギズイセン(ヒメヒオウギズイセン)
鱗茎(りんけい)(地下茎の一種)を、輪切りにしたり細かく刻んだりして熱湯を注いで飲む。
体温を上昇させる(40℃くらい)ことでガンに効く
鹿児島県永利町(ながとしまち)に伝わる民間薬。この地方ではナガシバナと呼ばれる。
鹿児島県川内(せんだい)市の渡辺国象先生(医師)によって伝承されている。

12.烏梅(うばい)                         
バラ科のウメの実(青梅)の燻製(くんせい)
モルヒネの効かないような末期ガンの痛みにも効いたという例がある。
近年、抗腫瘍活性が認められたとの報告もある。
ただし、市販品は熟した梅を使って作った染色用のものである可能性が高いので、自作したほうが良い。

13.赤小豆(しゃくしょうず・せきしょうづ)
マメ科のアズキの種子20~30gを煎じて飲む
腎機能を高め、利尿剤として働き、腹水を除く効果が期待できる
自然塩と一緒に炊いて食べても良い
鯉(こい)と一緒に炊くと一層良い
砂糖を入れると効果はなくなる(例:餡(あん)、お汁粉(しるこ))

14.桂枝茯苓丸加薏苡仁白英梅寄生(けいしぶくりょうがんかよくいにんびゃくえいばいきせい)
(桂皮4 茯苓4 桃仁4 芍薬4 薏苡仁30 白英5~10 梅寄生30~50)
家伝薬
  肺ガン以外のガンには一押しの薬方。
  白英(はくえい、びゃくえい)は、ヒヨドリジョウゴのことで、生薬としては入手し難く、味もかなり苦いので、無ければ無くても仕方がない。(あった方が良い)
  中国では比較的良く使われていて入手し易いとのこと。
  上記のうち、薏苡仁までは、保険がききます。
  エキス剤(桂枝茯苓丸加薏苡仁)も出ていますし、各生薬も薬価収載されています。
  残念ながら、白英と梅寄生は薬価収載されていませんので、保険は使えません。

 

15.利膈湯(りかくとう)〔本朝経験(ほんちょうけいけん)(名古屋玄医(げんい))〕
半夏(はんげ)6.0~8.0 附子(ぶし)0.5~1.0 梔子(しし)3.0
浅田流では、乾姜(かんきょう)2.0~3.0 甘草(かんぞう)2.0を加える。(利膈湯加味(りかくとうかみ))
また、茯苓(ぶくりょう)杏仁(きょうにん)甘草湯を合方することもある。
〔目標〕食道の通過障害に用いる。食道の内外に原因があって狭窄(きょうさく)をおこし、嚥下(えんげ)困難、嘔吐、口渇(こうかつ)があって、粘稠(ねんちゅう)な痰や唾液を吐くものである。
〔説明〕本方は、食道癌など予後不良の疾患に用い、粘稠な粘液を多量に喀出(かくしゅつ)し、通過障害がなくなって、病状が軽快する。しかし この効果は、多くは一時的なもので、疾患を根治させることは少ない。しかし 良性腫瘍などの予後のよい疾患には著効がある。
〔応用〕食道癌、胃癌(噴門(ふんもん)癌)、食道ポリープ、食道狭窄、食道痙攣(けいれん)、食道憩室(けいしつ)など。
◎飲み難いが、乾姜・甘草は入れない方が良く効くことが多い。

16.WTTC、船越の胃腸薬
藤瘤・菱実(ひしの実)・訶子(カシ、ミロバラン)・薏苡仁(ヨクイニン)各10~15gを煎剤として用いる。
古くから横須賀市の薬局で、「船越の胃腸薬」と称して用いていたものを、昭和30年頃に、千葉大学の中山恒夫教授がガンに有効だと発表して有名になった。
WTTCという名は、藤瘤(Wisteria floribunda)・訶子(Terminalia chebula)・菱実(Trapa japonica)・薏苡仁(Coix lacyma-jobi)の植物学名(ラテン名)の頭文字をつないだものである。
  長倉製薬株式会社(大阪)が、W.T.T.C.という名称で商品化しています。(粒です)
  内容は、1日量(6.0g)中、
  フジの瘤、ヒシの実、ミロバラン、日局ヨクイニン各15gの混合水溶性エキス6.0gに
  ヨクイニン末適量  となっています。
  500g入りで、35,700円くらいで、販売されています。
  問い合せ先URL:http://www.nagakurakanpo.com/contact/index.html


 土方康世氏(茨木市・東洋堂土方医院)は、WTTCに霊芝・梅寄生(ラテン名の頭文字GE)を加法したものを、WTTC-GEと称して、単純ヘルペス感染症(口唇ヘルペス、ヘルペス性口内炎、性器ヘルペス等)や、胃ガンに応用。

17.片仔癀(へんしこう)
田七(でんしち)85%、蛇胆(じゃたん)7%、牛黄(ごおう)5%、麝香(じゃこう)3%
いわゆる中成薬(ちゅうせいやく)(中国の生薬(しょうやく)製剤)
肝炎や肝ガンに使われる
麝香がワシントン条約で規制されているので注意
   成分表に書かれているものを混ぜて製造しても効果は劣る。
   書かれていない成分が含まれるか、製造方法に秘密があると思われる。
   製造方法として発酵させている可能性が指摘されている。


18.カワラタケ
カワラタケ(サルノコシカケ科)の菌体成分(タンパク多糖体)は「クレスチン」として、消化器癌、肺癌、乳癌の寛解、改善に内服薬として繁用されている。
カワラタケの菌子体は、健康食品には使用不可。

19.白花蛇舌草(びゃっかじゃぜつそう)
フタバムグラ(アカネ科)の全草
1日30~120g程度


20.旋覆花代赭石湯(せんぷくかたいしゃせきとう)
旋覆花 代赭石 大棗(たいそう)各三  甘草(かんぞう) 人参各二 半夏(はんげ)五 生姜(しょうきょう)四 
胃癌や食道癌に良い
胃の重い感じがする人に用いる


21.防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)+香砂養胃湯(こうしゃよういとう))
胃癌の大きくなるのを防ぐ
細野史郎氏


22.丁香柿蒂湯(ちょうこうしていとう)
柿蒂3 桂枝3 半夏3 陳皮(ちんぴ)3 丁子(ちょうじ)1 良姜(りょうきょう)1 木香(もっこう)1 沈香(じんこう)1 茴香(ういきょう)1 藿香(かっこう)1 厚朴(こうぼく)1 縮砂(しゅくしゃ)1 甘草1 乳香(にゅうこう)1 (万病回春(まんびょうかいしゅん)・巻3・呃(あく)逆)
胃癌末期のしゃっくりに


23.紫根牡蠣湯(しこんぼれいとう)〔片倉鶴陵〕
当帰(とうき)五 牡蠣四 芍薬(しゃくやく)三 川芎(せんきゅう)三 升麻(しょうま)二 黄耆(おうぎ)二 大黄(だいおう)一 甘草一 紫根三 忍冬(にんどう)二
乳ガン等に用い、ガンの一時延命効果がある
水戸黄門(徳川光圀)の秘方といわれている


・漢方薬を用いる時は、基本として駆瘀血剤を考慮し、その他の薬方も適宜使用する。
・駆瘀血剤としては、一般的なものだけでなく、陳旧瘀血(陳久瘀血)に効果のある、水蛭(すいしつ、すいてつ)、虻虫(ぼうちゅう)、䗪虫(しゃちゅう)なども考慮する。
抵当湯(ていとうとう)抵当丸(ていとうがん)、大黄䗪虫丸(だいおうしゃちゅうがん)、下瘀血丸(げおけつがん)など。

・癌(がん)そのものは、実と考えた方が良いので、原則として瀉剤を使用し、必要に応じて補剤も用いる。
・人参の入った補剤については、ガンも元気にする可能性があるので、その使用については否定的な人もいる。
・上記にあげたものは、症状を改善するのみで、癌を良くするものではない場合もあるので注意。
・腹水には、分消湯などの駆水剤も考慮。
・いずれにしても専門家に相談した方が良い。

その他(健康食品等)
健康食品については、あいまいな情報も多い。
下記は一般的に言われていることで、学術的なものではない。

1.タヒボ(紫イペ)
  ノウゼンカズラ科
  パウダルコ、あるいは紫イペとも呼ばれる。
アマゾン奥地に自生する樹木の内部樹皮(樹木と外層と中の材との中間の樹皮)を用いる。
  ※樹齢30年以上
  含有成分「NFD」が平成9年7月、日本で「発癌プロモーション阻害剤」として成分特許を取得
アメリカ、台湾で「抗癌剤」として成分特許を取得
  フラノナフトキノン(FNQ)誘導体が含まれており、がん細胞のミトコンドリアで大量の活性酸素を発生させ、がん細胞を破壊すると言われています。
ラパコールという成分には、活性酸素除去効果が効認されているそうです。

 大阪府寝屋川市の藤本病院の川口雄才先生(医学博士)(元関西医大外科)が、「紫イペを利用」
手術によってNO(一酸化窒素(いっさんかちっそ))が発生しますが、これを紫イペ(タヒボ)が抑制。
「紫イペの肝iNOS誘導に対する抑制効果とそのメカニズム」日本肝細胞研究会で発表


2.プロポリス
ある種のミツバチが巣を作る際、樹液と自らの唾液等を混ぜ合わせニカワ状に作る接合剤。
ハチヤニとも呼ばれ、強力な抗菌作用がある。
血管内でリンパ球や顆粒球に直接働きかけて、パワーを与えることができる。
また、外敵と戦って傷ついたリンパ球や顆粒球を元の元気な状態に戻元する力もあると言われている。



3.AHCC
数種類の食用キノコ(担子菌)の菌子体培養抽出物。
有効成分はβ-グルガン等の多糖体やオリゴマー。
免疫活性物質インターロイキン(IL)12を体内で自然に誘導でき、キラーT細胞を活性化すると考えられています。


4.AHSS
  北海道のクマイザサの特殊な抽出物が主成分
  抽出方法は、循環多段式加圧抽出法と呼ばれる。

  
5.ILX
シイタケ、スエヒロタケ、マンネンタケの菌子体培養


6.キトサン
カニやエビの殻から精製されるもので癌細胞包括作用があるといわれる。
水溶性の低分子キトサンと不溶性の高分子キトサンがあり、それぞれが効果が高いとうたっている。
  キトサンは、「腸の表面に接触する」だけで効果があり、吸収される必要は無いとのこと。(腸管免疫の刺戟)

7.サメの軟骨
海に住むサメ(鮫)の軟骨。
ガンが増殖する時に必要とする酸素、栄養を運ぶ新生血管を阻害するといわれている。つまり、ガン細胞を兵糧攻めにする働きがあると称されています。(正常細胞を障害することは無いそうです。)
兵糧攻めにあったがん細胞は、がん細胞であることを示す抗原を出すようになり、この抗原を認識したキラーT細胞が、がん細胞を攻撃する。
 

8.フコイダン
コンブ・ワカメ・モズクなどの褐色の藻類(褐藻類)に含まれる特殊な多糖類。
抗腫瘍活性があると言われています。


9.プロバイオティクス&プレバイオティクス
乳酸菌・ビフィズス菌・ケフィア(ヨーグルトキノコ)、オリゴ糖等を利用して、腸内環境を整えることにより、免疫力を高める。


10.抗酸化物質(スカベンジャー)
活性酸素の害を抑える。
抗酸化ミネラル(セレン、亜鉛)、抗酸化ビタミン(VC、VE)、カロチノイド、ポリフェノール類(茶、ぶどう、ピクノジェノール・イチョウ・・・・・・etc)
逆効果との意見もある。


11.キャッツクロー(Cat's claw)
アルカロイドとして mitraphyline, isopteropodine, dhyncophyline, preropodine, isorhyncophylline, isomitraphylline その他として quinovic acid, glycoside, trypterphenes, catechinを含む。
ペルーではインカの時代より健康のために服用されてきた植物であり、優れた免疫力増加、鎮痛及び抗炎症作用がある。
ガンやエイズ、リウマチ、関節炎に効果が期待されている。

12.大豆イソフラボン
女性ホルモン様作用を示し、女性ホルモンの関与の深いガン(乳ガンなど)に効果があると考えられています。
  ・逆に乳癌(にゅうがん)などに悪いという意見も有。


13.シイタケ
シイタケに含まれるレンチナンが医薬品として使用されている。


14.スエヒロタケ
スエヒロタケに含まれるシゾフィランが医薬品として使用されている。

15.小麦発酵抽出物(IP-PA1、ソマシー)
小麦をパントエア菌(Pantoea agglomerans)で発酵させて得られたもの。
マクロファージの活性化。再教育。
http://www.macrophi.co.jp/ouyou/sozai/sozai01.htm


癌性腹膜炎(ガン性腹膜炎)による腹水については、下記のサイトもご参考下さい。
癌性腹膜炎(がんせいふくまくえん)による腹水の漢方治療法