健康情報: 2月 2013

2013年2月18日月曜日

九味檳榔湯(くみびんろうとう) の 効能・効果 と 副作用

《資料》よりよい漢方治療のために 増補改訂版 重要漢方処方解説口訣集』 中日漢方研究会

15.九味檳榔湯(くみびんろうとう) 勿誤薬室方函
 檳榔4.0 厚朴3.0 桂枝3.0 橘皮3.0 生姜3.0(乾1.0) 大黄1.0 木香1.0 甘草1.0 蘇葉1.0 
(呉茱萸1.0,茯苓3.0)

現代漢方治療の指針〉 薬学の友社
 疲労倦怠感があって,心悸亢進や動悸,肩こり,息切れなどを伴い,浮腫や便秘の傾向があるものに用いられる。起床時に顔やマブタがはれっぽいか,重い感じがあるか,または下肢に軽度の浮腫があって,倦怠感を自覚するものによい。この場合人によって動悸を伴うものもあり,当帰芍薬散料の症状と類似するが,本方には身体冷感や貧血症状,貧血に伴う月経不順などがない点で鑑別できる。本方を高血圧や動脈硬化に応用する場合は,顔色やヒフが青白いか水々しく見受けられるものを対象とし,降圧の目的でなく疲労が重なって,自覚症状が増悪するものに用いられる。したがって大柴胡湯,三黄瀉心湯,桃核承気湯,防風通聖散などが適応する,いわゆる赤ら顔の卒中体質ではない。本方はビタミン剤や疲労回復剤,ドリンクなどを求える患者に与えて喜ばれる。特に夏期の疲労回復によい。呼吸困難,動悸,息切れ,浮腫などの症状は木防已湯証と類似するが,本方はそれらがなく疲労倦怠感を主訴とするので区別することができる。



漢方処方解説シリーズ〉 今西伊一郎先生
 (中略) 疲労回復剤や栄養強壮剤の需要はますます増加する傾向にあるがアンプルやドリンク剤は,この要求を正しく満たすものとは思われず,むしろ誇大宣伝や体質を無視した販売により,顧客の不信感が助長しており,いまこそ本方や補中益気湯など漢方の疲労回復剤を見直すべきである。本方は南方住民が清涼剤として常用している檳榔子を配合し,夏季にはとくに即効のあるもので大いに注目されてよい。


漢方処方応用の実際〉 山田 光胤先生
 脚気で,下肢が腫れ,息切れするものに用いる。浅田宗伯は,この方は和方の七味檳榔湯の枳実を去り,厚朴,木香,蘇葉を加えたものだといっている。これら三味は,どれも気剤であって,水分の停滞を除く力がある。細野史郎氏はこの方に呉茱萸,茯苓を加えて薬力を増強できるといっている。この加呉茱萸茯苓は,浅田宗伯の経験である。


漢方処方解説〉 矢数 道明先生
 脚気,腫満,短気の者を目標にするが,これを近代医学の脚気診断の仕方によって考察すると,脚気特有の脈状を呈している。すなわち,来ること強く,かつ速やかに充満し,ただちに緊張が去る。すなわち速脈になっている。心臓は右方に拡大し,第Ⅱ肺動脈音は亢進し,呼吸促迫,皮膚知覚異常,最低血圧低下,股動脈音聴取,腱反射異常,全身倦怠感,ことに脚の倦怠感,水分貯留傾向である。自覚症状としては,さむがる,四肢の厥冷,四肢の関節・腰・首等の硬直感,他覚症と成ては,顔面の浮腫状,眼瞼浮腫状,鼻尖光沢等が目標となる。


日本東洋医学会誌〉 第5巻第2号
九味檳榔湯加呉茱萸・茯苓の臨床
           細野 坂口 内炭 三先生

 1.諸言
 近年定型的症状を具備した脚気は甚だ少なくなったことは一般に認められる所である。しかし是を以て直ちに脚気はもはや吾国の主要疾患でないとする訳にはいかない。大森教授は自覚症状,神経筋系症状,循環障碍,浮腫などのすべてを具備しないが,特有の疲労感を主症状として二,三の脚気症状を伴うものは真の脚気と云うよりも「脚気様状態」と称すべきであると云われ,北沢博士は,「・・・・・・状態」という言葉は漠然としているので,此の様な症状を不完全乍ら具え,而も脚気様状態を招来する病原が認められないときには,神経系,循環系にまたがった機能不全があるので,之を新たに神経循環不全症と概念づけたいと提唱し,自覚症のみで他覚症を欠くものは神経循環衰弱症と云う概念によることを主張されたのである。
 更に又一つの重要な疾患がある。それは所謂,「心臓神経症」と云われるもので,心動悸,疲労感,呼吸困難,不安,心部疼痛などを主症状とし,めまい(地の底えめいり込むような気がする,気が遠くなる),ためいき,息ずまる感じ,神経過敏,四肢冷感,しびれ,手掌・足蹠・腋窩の冷汗,全身発汗,失神,頭重,のぼせ,不眠,手指振顫,寒さに敏感,あちこちの疼痛,便秘,下痢,朝起きにくい等の多彩な症状を持つものである。
 そして広い意味で心臓神経症という概念には神経循環性緊張異常症,神経循環衰弱症なども含まれるのである。
 何故にこの二つの疾患を引合わせたかと云えばそれは前者が神経循環不全症と概念ずけるべく提唱されており,又後者も神経循環性の機能障害を主徴としており,又その病像も疲労感,心動悸等を共通の主症状として相似ているというばかりではなく,吾々の漢方治療に於て九味檳榔湯加呉茱萸,茯苓がこの両疾患に甚だ有効であるからである。
 かくの如く両疾患が密接な近似性を有し,而も其等の両者に九味檳榔湯加呉茱萸・茯苓は共通に有効であるということは学問的にも,又臨床的にも甚だ興味深い事実であり,而も之等の疾患が日常の臨床に於て屢々見られるものであるので敢てここに報告する次第である。

 2.九味檳榔湯加呉茱萸・茯苓の薬方について
 本方の胚胎する所は遠く千金方に発している。今村了庵の説によれば千金方には,脚気,気血凝滞するものを治する一方として,
 大黄 木香 生姜 檳榔 枳実 橘皮 甘草 の方があるが,その後,山脇氏は更に之に桂枝,紫蘇を加えて現在吾々の用いている九味檳榔湯sに近い薬方を完成して,その主治は略々同じで,主として脚気症に用いていたのである。又原南陽も之と殆んど同様である。淵々斉方亟には八味檳榔湯という。
 檳榔 半夏 桂枝 陳皮 蘇子 茯苓 木通 甘草 
 右八味 生姜入煎
 の方があり,脚気,湿を問わず皆之を治すとあ る。浅田氏は,九味檳榔湯として檳榔大黄厚朴桂枝橘皮木香蘇葉甘草生姜を用い,更に脚気に於ては呉茱萸,茯苓を加えて用いている。新妻氏は浮腫型脚気,及び乳児脚気を目標として本方を用いていた。

※淵々斉方亟は、淵々斎方函の誤植?
書名 淵々斎方函 
書名ヨミ エンエンサイホウカン
責任表示 小林是則(蒲渓)口授・石束左門纂校
写・刊・形状 弘化2年刊 和中




 3.本方と体質との関係
 吾々が本方を用いている病像は,この処方が本来脚気の治療薬であったところから,脚気の主症状たる,疲労感,心動悸,呼吸困難,第二肺動脈音亢進,速脈,心濁音右方拡大,腓腸筋握痛,腱反射異常,知覚鈍麻,時には浮腫などであったが, この中の心動悸や脈状を目標に心臓神経症に用いたところが,時に非常に良い結果を得,次いで他疾患にも応用してみてその使用範囲の広いことを知ると同時に,そこに一つの体質が存在することを知った。
 「ホメオパシー」も吾々の漢方医学とごく近い性格を持っているが,その中にHydrogenoide Konstitution 或は Hydrogenese Konstitution  という概念がある。本方の適応する病態は漢方医 学の所謂水毒と云われているものに関係するものと思われ,ややその内容を異にするが,此の Hydrogenoide Konstitution 或は Hydrogenese Konstitutionと略々一致するものではないか と考えられる。即ち,体格栄養は比較的良いが, Pastösとも云うべき状態で皮膚の緊張が稍々悪く,目の下に浮腫傾向を来し易く,又ちょっとしたことで手足も浮腫性になり握りにくくなったり,しびれたりする。その内容についてはここに詳述を避けるが,この経験を通じて漢方医学に於ても随証治療のみでなく体質治療が成立するのではないかと思える。

 4.本方の応用目標及び鑑別
 本方の応用目標として、勿誤薬室方函口訣に、脚気腫満短気の者とあるので、最初は此の脚気症を西洋医学的の臨床症状により決定して用いた。即ち、
 (1) 心 臓の右方拡大
 (2) 第2肺動脈音の亢進
 (3) 脚気症に特有の脈状
    来ること強く且つ速かに充満したかと思うと、直ちに緊張が去ってゆく。恰も洪脈の状の速かに現れて速かに消えてゆくに似る。換言すると速脈Pulsus celer(但し心臓疾患のない場合に限る)且つ数脈である。
 (4) 呼吸促進の感あり。
 (5) 腓腸筋握痛
 (6) 皮膚知覚異常
其の他、参考として最低血圧低下、股動脈音聴取腱反射異常をも利用したが、就中、(3)、(5)、(6)に特に注意して応用していた。
 しかし乍ら、前述したようにビタミン研究の進歩と共に、定型的な症状を具備した脚気は漸次減少し、近年は定型的な脚気は稀となり、殆んどすべてが不完全型となっている。この不完全型にも如上の臨床症状、特に(3)、(5)、(6)を目標として応用するときは、常に卓効を得ていたのである。即ち吾々はここに於て本方の応用を完全型の脚気から不完全型のそれに対して第一段階の拡張に成功したのである。
 次に他の種々の疾病の経過中、或は東洋医学的には明かに主証が他にあると考えられる場合に、脚気様症状 ――自覚的に全身倦怠感、殊に脚の倦怠感、他覚的には(3)、(5)、(6)の症状――が併存することが往々ある。この際主方のみを単用するより も本方を兼用或は合方する方が治療効果に於てより良効があることを知った。即ち漢方の真の随証治療から逸脱するかの如き治法を行って,より優秀な成績を得ることが出来たのである。吾々は是を以て本方の第二段階の拡張に成功したのである。
 次に本方は不完全な脚気様症状群を呈する他の疾患に応用しても卓効を得る事が分った。例えば心臓神経症,甲状腺機能亢進の状態にあるものから,立派なバセドー氏病ともいえる状態になったものまで,又最近の例では反対に粘液水腫にも相当の奏効があることが判明した。其の他高血圧症の一部の者,初期の肺浸潤の一部,更には胸部の帯状ヘルペスにも奏効した例があった。いづれにしても之等諸例は前述の応用目標に従って本方を運用した例である。是を以て本方は更に第三段階の拡張に成功したのである。
 茲に卑近な一例を挙げる。過去一年間我が東洋医学界に一大旋風を巻き起した,例のシュミット博士が本年一月,車中で風邪を引き,咳嗽甚しく,煩渇強く水分の摂取過多になっていた。咳嗽は日ましに強く,寒気を非常に強く感じる様になり,とうとう朝は頭や身体が重く,不快で起き出る気にもなれない。だが,それも午後になると気分も晴れ始め,恐ろしく元気が出るという変調的な状態となった。加之,今まで治っていた痔出血も再発するという調子で,全く散々の調子であった。
 このような状態に本方の症状が具備していたので本方に半夏,杏仁を加えて一,二貼与えた所,如何なる方剤にても奏効しなかった頑固な咳嗽も著明な利尿がつくと同時に頓坐的に止み,痔出血も治り,高度のウロビリノーゲン尿も消失し,全く元気を恢復した。この例では水分摂取過多が身体の水分代謝に悪影響を与え,肺循環系領域の病的状態を更に悪化し,肝臓機能障碍さえ惹起し,ここに門脈系血流の欝滞の為痔出血を来していたのが,本方により尿利を通して之等の諸障碍が一掃されたものと考えられる。
 扨て本方の奏効する疾患は上述の如く諸多あるが,その諸例を更に仔細に検討するに,上述した脚気様症状群の外に,更に重要なのは水分潴溜傾向の存在することであるのを認めた。まして吾々は水分潴溜傾向の存在を以下の如き臨床的徴候を以て確認することとした。
 自覚症状 さむがる,四肢の厥冷,四肢の関節,腰,首等の硬直感
 他覚症状
  (1)顔面のGedmsenheit―即ち,past6&
  (2)上,下眼瞼及眼下部の浮踵傾向
  (3)鼻尖の皮膚の緊満して光沢を放つこと
  (4)皮膚波動(Hautfluktuation)(仮称)
  (5)腕関節部に於ける水徴候(Hand-wasser-zeichen)
(仮称)(小指球を腕関節の方向に圧迫する際に,水分潴溜傾向のある人では腕関節屈側中心部に
限局性半球状の膨隆を生ずる。)

 即ち本方の病像には上述の諸症状に加うるに水分代謝障碍によって原因されると見做される之等の諸徴候が必然的に伴つて来ること,反対に之等の諸徴候を有するものに本方が奏効することを認めたのである。吾々は斯様にして第四段階の拡張に成功したのである。
此の最後の事実,脚気症状がV。B1欠乏のみでは説明し難い幾多の矛盾を有していること,及び後に述べるが本方中にV。B1が殆んど含有されていないこと等の事実は本方の治病機転がヴィタミンB1よりも,寧ろその水分代謝障碍排除作用並に有益ならざる代謝産物,其の他諸種塩類の排泄促進作用に負うものであることを暗示し,先輩達の経験の帰結として述べられている本方の主治,即ち脚気,気血欝滞を治すの意の正しきを知つたのである。
 翻って,之等の事実は又本方が所謂水毒性体質或は一種の水分代謝障碍のある体質の体質改良剤としての応用にも耐え得ることを考えしめるのである。

 鑑別診断
(1)唐侍中一方本方と共に脚気に頻用された薬方である。本方が薬味に於て半夏厚朴湯に類似しているに対し,唐侍中一方は香蘇散に類似した薬方である。ここに一般的な差異があり,腹診上にも差異があり,応用上にも差異が生する(2)半夏厚朴湯本方にも半夏厚朴湯去半夏が含まれている。しかし本方は半夏厚朴湯より多味である。従つて例えば同じく心臓神経症に用うる場合,其の急性症状の顕著な際には半夏厚朴湯の方がよい。又本方には水分潴溜傾向が顕著である。心下部に於ける表在組織の反射的緊張は半夏厚朴湯の方が強い。
(3)分心弧飲分心気飲と本方とは同じく水分
代謝障碍のある人に用いられる。又共に神経症にも用いられることは同様である。前者は精神的沈滞による病的状態に用いられる。但し本方との差異はなお今後の研究に俟つ所が多い。
(4)防風通聖散防風通聖散は肥満性の人に用い,水分潴溜傾向の人に用いるが,本方の様な利尿作用はなく,しかも水腫傾向を減する如し。但し本方が能く心動悸,短気を治する能あるも防風通聖散には其の作用が少いか或はない。但し詳細は今後の研究に俟つ。
(5)柴胡桂枝干姜湯柴胡桂枝干姜湯では鍼灸の経穴たる左側心兪,巨闕,農中の部の圧痛が著明である。吾々は之等を心臓性徴候と仮称しているのであるが,本方では心臓性徴候は(土)の程度で,有つても僅微である。所が水分潴溜傾向は本方に著明で,柴胡桂枝干姜湯には殆んどない。肩凝は柴胡桂枝干姜湯に強く,本方には少ない。しかも柴胡桂枝干姜湯の肩擬は肩より項部,更に後頭部又は耳後或は耳上部に及ぶものであるが,殊に項部がよく凝るものである。
もし両者の撰用に迷う際は,心臓性徴候強く,項部の凝りのあるとき柴胡桂枝干姜湯必ず奏効する。項部に凝りなく,心臓性徴候僅微にして水分潴溜傾向著明なれば本方必ず奏効す。
(6)苓桂述甘湯苓桂述甘湯は所謂水毒性体質の場合,頻用せられる薬方である。蓋し,本方の薬味中に苓・桂・甘の三味を有するも蒼述なし。即ち,本方に苓桂述甘湯の方意潜むことはよく了解することが出来る。従つて,本方が尿利不利,心動悸,身体疼痛を併せ治するのも当然である。但し,本方証とも考えられる前述の脚気様症状群を有する病態で,特に苓桂述甘湯証顕著なる場合


漢方後世要方解説』 医道の日本社刊 矢数道明著

方名及び主治 五七 九味檳榔(クミビンロウトウ) 浅田家

○脚気腫痛、短気、及び心腹痞積気血凝滞するものを治す。

 文献
 九味檳榔湯のこと
  「漢方」 第二巻 一〇号…………坂口 弘
 九味檳榔湯加茯,呉の臨床
  日本東洋医誌 第五巻 三号………細野、坂口、内炭
処方及び薬能檳榔四 桂枝 橘皮 厚朴各三 生姜 蘇葉各一・五 木香 甘草各一 大黄〇・五

 右九味或いは大黄を去り、呉茱萸一 茯苓五を加う。
 南陽は枳実を以って木香に代え、脚気気血凝滞腫をなす者を理む。

 檳榔=胸中の滞気を瀉し、水を行らす。
 厚朴=湿を去り、満を散じ、滞を化す。
 木香=諸気を降し、欝を開く。
 橘皮=気を理し、滞を導き、湿を燥す。
解説及び応用○此方は知覚運動型一般の脚気初期に広く用いられる。いずれかと云えば、実証に属するもので、下肢倦怠、知覚麻痺、シビレ感、心悸亢進、下肢浮腫、腓腸筋緊張、圧痛あり、腹部充実し、心下部膨満、圧重感あって便秘の傾向あるものによく効を奏する。

○応用
 ①脚気一般の薬。


『漢方一貫堂の世界 -日本後世派の潮流』 松本克彦著 自然社刊
p.19
 九味檳榔湯(くみびんろうとう)(浅田方函)
 檳榔・厚朴・桂枝・橘皮・生姜・大黄・木香・甘草・蘇葉
 『浅田方函』に「脚気腫満、短気及び心腹痞積して気血凝滞する者を治す」とあり、破気の作用のある檳榔を主薬として、一連の気剤に大黄を加えたも構成である。これについては、すでに坂口弘先生を中心に甲状腺機能亢進症等の症例報告も多く発表されているが、分心気飲に比して、破気降気の作用はやや弱いように思われ、また大黄によってかなり頑固な便秘にも対処し得る便利さがあるが、利水剤がないため、坂山先生も使用に当ってはよく茯苓等を加味しておられるようである。



【一般用漢方製剤承認基準】 
九味檳榔湯
〔成分・分量〕 檳榔子4、厚朴3、桂皮3、橘皮3、蘇葉1-2、甘草1、大黄0.5-1、木香1、生姜1(ヒネ ショウガを使用する場合3) (大黄を去り、呉茱萸1、茯苓3を加えても可)

〔用法・用量〕 湯

〔効能・効果〕 体力中等度以上で、全身倦怠感があり、とくに下肢の倦怠感が著しいものの次の 諸症: 疲労倦怠感、更年期障害、動悸、息切れ、むくみ、神経症、胃腸炎、関節のはれ や痛み


【添付文書等に記載すべき事項】
 してはいけないこと 
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕

2.本剤を服用している間は、次の医薬品を服用しないこと
他の瀉下薬(下剤)
〔大黄を含有する製剤に記載すること〕

3.授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
〔大黄を含有する製剤に記載すること〕



 相談すること 
 1.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。
  〔大黄を含有する製剤に記載すること〕 
(4)胃腸が弱く下痢しやすい人。
  〔大黄を含有する製剤に記載すること〕 
(5)高齢者。
     〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。
     むくみ
     〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(8)次の診断を受けた人。
     高血圧、心臓病、腎臓病
     〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕


2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

関係部位 症状
皮膚 発疹・発赤、かゆみ
消化器1) はげしい腹痛を伴う下痢、腹痛

〔1)は大黄を含有する製剤に記載すること〕

まれに下記の重篤な症状が起こることがある。その場合は直ちに医師の診療を受けること。

症状の名称 症状
偽アルドステロン症、
ミオパチー
手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばりに加えて、脱力感、筋肉痛があらわれ、徐々に強くなる。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)
含有する製剤に記載すること。〕


3.服用後、次の症状があらわれることがあるので、このような症状の持続又は増強が見られた場合には、服用を中止し、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
軟便、下痢

4.1ヵ月位(便秘に服用する場合には5~6日間)服用しても症状がよくならない場合は服
用を中止し、この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること

5.長期連用する場合には、医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕


〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕
(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
   〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕
(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載す
ること。〕
1)3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注
意すること。
〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕
2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕
3)1歳未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ
服用させること。
〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」を してはいけないこと に記載し、用法及び用量欄には記載しないこと。〕


保管及び取扱い上の注意
(1)直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること。
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕

(2)小児の手の届かない所に保管すること。

(3)他の容器に入れ替えないこと。(誤用の原因になったり品質が変わる。)
〔容器等の個々に至適表示がなされていて、誤用のおそれのない場合には記載しなくて
もよい。〕



【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】


注意
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕

2.授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
〔大黄を含有する製剤に記載すること〕

3.次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1)医師の治療を受けている人。
(2)妊婦又は妊娠していると思われる人。
(3)体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)。
〔大黄を含有する製剤に記載すること〕
(4)胃腸が弱く下痢しやすい人。
〔大黄を含有する製剤に記載すること〕

(5)高齢者。
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(6)今までに薬などにより発疹・発赤、かゆみ等を起こしたことがある人。
(7)次の症状のある人。
むくみ
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
(8)次の診断を受けた人。
高血圧、心臓病、腎臓病
〔1日最大配合量が甘草として1g以上(エキス剤については原生薬に換算して1g以上)含有する製剤に記載すること。〕
3´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔3.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には3´.を記載すること。〕
4.服用に際しては、説明文書をよく読むこと
5.直射日光の当たらない(湿気の少ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
〔( )内は必要とする場合に記載すること。〕