健康情報: 当帰芍薬散加附子(とうきしゃくやくさんかぶし) の 効能・効果 と 副作用

2014年5月30日金曜日

当帰芍薬散加附子(とうきしゃくやくさんかぶし) の 効能・効果 と 副作用

『健康保険が使える漢方薬の選び方・使い方』 木下繁太朗 土屋書店刊

p.141
当帰芍薬加附子湯(とうきしゃくやくかぶしとう)
症状
 当帰芍薬散(142頁)に附子を加えたもので、当帰芍薬散を使いたいような状態で冷えが強いものに用います。具体的には、血色が悪く貧血症で、足腰が冷えやすくて小便が近く、頭重や頭痛があり、ときにめまい、肩こり、耳鳴り、動悸などのあるもの。

適応
 婦人の冷え性、月経痛、神経痛、慢性腎炎、更年期障害、妊娠中の障害(浮腫、習慣性流産の予防、痔疾、腹痛) 産後の肥立ち不良。


【処方】 当帰芍薬散エキス5.0gに、加工ブシ2.0gをまぜたもの。

健 三



『漢方 新一般用方剤と医療用方剤の精解及び日中同名方剤の相違』
愛新覚羅 啓天 愛新覚羅 恒章 
文苑刊

p.315
66 当帰芍薬散加附子(とうきしゃくやくさんかぶし) 《類聚方広義》

[成分]:当帰3~3.9、芍薬4~16g、川芎3g、茯苓4~5g、沢瀉1,:12g、加工附子0.4g

[用法]:湯剤とする。1日1剤で、1日量を3回に分服する。

[効能]:養血益気、健脾利湿、温陽袪寒


[主治]:血虚気虚、脾虚湿帯、陽虚畏寒

[症状]:疲れ、体がだるい、立ち眩み、心悸、浮腫、食欲不振、腹痛、腹脹、軟便、下痢、体の冷え、畏寒など。舌が歯痕あり、舌苔は白厚、脈が沈細と緊。

[説明]:
 本方は養血補気と健脾利湿と温陽袪寒の効能を持っており、血虚気虚と脾虚湿滞と陽虚畏寒の軽気を治療することができる。
 本方は《金匱要略》の当帰芍薬散に温裏薬の附子を加えた変方である。
 本方に含まれている当帰芍薬散(当帰、芍薬、川芎、茯苓、白朮、沢瀉)は養血止蚕し健脾利湿し、附子は温陽袪寒する。
 本方は当帰芍薬散より温陽袪寒の効能(附子)が強い。そこで、本方は当帰芍薬散で治療できる病の上に、陽虚の重い場合に適用する。当帰芍薬散は一般用と医療用の漢方方剤である。
 本方は白朮を蒼朮に替えても厚生労働省に許可されている。本方は日本の漢方薬である。
 血虚陽虚と脾虚湿滞の型に属する妊娠貧血、妊娠浮腫、流産、不妊症、月経不順、骨盤内炎症性疾患、卵巣嚢腫、不正性器出血、消化不良、胃腸機能低下、貧血、慢性肝炎、慢性腎炎、狭心症、老人性痴呆症、冷え症などの治療には本方を参考とすることができる。



『健康保険が使える 漢方薬 処方と使い方』 
木下繁太朗 新星出版社刊

 p.168
当帰芍薬加附子湯

どんな人に使うか
 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)に加工附子(かこうぶし)を加えたもので、虚弱体質で貧血傾向があり、冷えがきつく、性周期に伴って浮腫、腹痛を訴え、頭重、耳鳴り、めまい、肩こり、下腹部痛、全身倦怠感、手足の強い冷えなどのある人(主に成人女子)に用います。

目標となる症状
症 腹 脈 舌 共に当帰芍薬散(169頁)に同じ、症状では冷え、寒気が強い。

どんな病気に効くか(適応症)
 血色悪く貧血症で足腰が冷えやすく、頭痛、頭重体r小便頻数を訴え、時に目眩(めまい)、肩こり、耳鳴り、動悸あるものの、婦人の冷え症、月経痛、慢性腎炎、更年期障害、妊娠中の障害(浮腫、習慣性流産の予防、痔疾、腹痛)、産後の肥立不良。
 その他当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)に同じ。

この薬の処方
 当帰(とうき)、川芎(せんきゅう) 各3.0g。 芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)各6.0g。 沢瀉(たくしゃ)8.0g。 加工ブシ末2.0g。

この薬の使い方
 三和当帰芍薬加附子(とうきしゃくやくかぶし)エキス細粒(さいりゅう)(サンワロンF末)、成人一日4.0gを2~3回に分け、食前又は食間に服用する。

使い方のポイント
①当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を使いたい症状で、冷え、寒さの強い時に用います。当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)に加工附子剤(加工ブシ末、アコニンサン錠、ストロバール錠、炮附子末(ほうぶしまつ)、烏頭(うず)を加えても良い。
②当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)の血剤と茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)、沢瀉(たくしゃ)の利水剤に附子(ぶし)を組み合わせたもの。
 当帰(とうき)は温性増血剤で貧血で気がいらいらしているものに効き、川芎(せんきゅう)は補血剤で特に鎮静作用が強く、芍薬(シャクヤク)はこれらの増血作用を助け、腹部の痛みを緩和します。茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)、沢瀉(たくしゃ)は代表的な利水剤の組み合わせで、浮腫などの体内水分の偏在を補正。附子は冷え、痛みを取り、身体を温めて、強い冷えをとります。



【一般用漢方製剤承認基準】
204 当帰芍薬散加附子
〔成分・分量〕 当帰3、沢瀉4 、川芎3、加工ブシ0.4、芍薬4、茯苓4、白朮4(蒼朮も可)

〔用法・用量〕 湯

〔効能・効果〕 体力虚弱で、冷えが強く、貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭 重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などがあるものの次の諸症: 月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害 (貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰 の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り


類聚方広義解説(85) 日本東洋医学会監事 岡野 正憲
  次は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。「当帰三両(二分五厘)、芍薬一斤(一銭四分)、茯苓、朮各四両(各三分五厘)、沢瀉半斤(七分)、芎藭(キュウキュウ)半斤一に三両(二分五厘)に作る。右六味、杵きて散となし、方寸匕を取り、酒にて和し日に三服す。婦人懐妊、腹中きゅう痛。婦人腹中諸疾痛」とあります。
 当帰芍薬散というのは、非常に使われる処方です。この元の処方は、粉の処方になっております。芎藭は今の川芎(センキュウ)のことです。川芎というのは元来四川省の芎藭のことで略していったものです。これらを粉にしたものをお酒で飲めと書いてあります。当帰芍薬散を粉にしたものは非常に胸につかえて気持が悪いので、お酒と一緒に飲んでその気味を発散させるといいというわけです。

 その次にある本文は『金匱要略』の婦人妊娠病篇に出ているもので、「婦人懐妊、腹中きゅう痛する者は当帰芍薬散之を主る」「婦人腹中諸疾痛するは当帰芍薬散之を主る」ということです。婦人が妊娠中におなかがひきつれて痛いのは当帰芍薬散の主治である。婦人がおなかの中がいろいろと痛む病気があるのは当帰芍薬散が主治するところであるというわけです。
 頭註に尾台榕堂がいっていることがあります。「妊娠、産後にして、下利腹痛し、小便不利、 腰脚麻痺し力無く、あるいは眼目赤痛(せきつう)の者、もしくは下利止まず、悪寒する者は附子を加う。もし下利せず、大便秘する者は大黄を加う」というものです。妊娠中や産後に下痢とか、おなかが痛い、尿の出が悪い、腰から足が麻痺している状態、あるいは眼球が赤くなっていて痛むもの、あるいは下痢がやまなくて寒気がするような場合には附子を加えた方がよい。もし下痢もしないで便秘している場合には当帰芍薬散に大黄を加えよというわけです。



三和当帰芍薬散加附子エキス細粒

組成
本品1日量(9g)中、下記の当帰芍薬散加附子水製エキス5.9gを含有する。
日局 トウキ 3.0g
日局 センキュウ 3.0g
日局 シャクヤク 6.0g
日局 ブクリョウ 4.5g
日局 ビャクジュツ 4.5g
日局 タクシャ 3.5g
日局 加工ブシ 1.0g
添加物として乳糖水和物、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、軽質無水ケイ酸を含有する。

  効能又は効果  血色悪く貧血性で足腰が冷え易く、頭痛、頭重で小便頻数を訴え時に目眩、肩こり、耳鳴り、動悸あるものの次の諸症  婦人の冷え症、月経痛、神経痛、慢性腎炎、更年期障害、妊娠中の障害(浮腫、習慣性流産の予防、痔疾、腹痛)、産後の肥立不良  用法及び用量  通常、成人1日9gを3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。


副作用
その他の副作用

頻度不明
消化器 食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等
その他 心悸亢進、のぼせ、舌のしびれ等






『一般用漢方製剤の添付文書等に記載する使用上の注意』

 222. 当帰芍薬散加附子
 
【添付文書等に記載すべき事項】
 
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、 副作用が起こ りやすくなる)
 
次の人は服用しないこ
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
 
相談すること
1. 次の人は服用前に医師、 薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1) 医師の治療を受けている人。
(2) 胃腸の弱い人。
(3) のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人。
(4) 今までに薬などにより発疹・発赤、 かゆみ等を起こしたことがある人。
 
2.服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、
この文書を持って医師、 薬剤師又は登録販売者に相談すること
 



 
関係部位   
  発疹・発赤、 かゆみ
消化器 吐き気、食欲不振、胃部不快感、腹痛
その他 動悸、 のぼせ、 ほてり、 口唇・舌のしびれ
 
3. 服用後、 次の症状があらわれることがあるので、 このよ うな症状の持続又は増強が見られ
た場合には、服用を中止し、 この文書を持って医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
下痢
 
4. ヵ月位服用しても症状がよく ならない場合は服用を中止し、 この文書を持って医師、
剤師又は登録販売者に相談すること
〔用法及び用量に関連する注意として、用法及び用量の項目に続けて以下を記載すること。〕(1)小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させること。
〔小児の用法及び用量がある場合に記載すること。〕
(2)〔小児の用法がある場合、剤形により、次に該当する場合には、そのいずれかを記載す
ること。〕
1) 3歳以上の幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、 よく
注意すること。
〔5歳未満の幼児の用法がある錠剤・丸剤の場合に記載すること。〕
2)幼児に服用させる場合には、薬剤がのどにつかえることのないよう、よく注意すること。
〔3歳未満の用法及び用量を有する丸剤の場合に記載すること。〕
3) 1歳未満の乳児には、 医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させること。
〔カプセル剤及び錠剤・丸剤以外の製剤の場合に記載すること。 なお、生後3ヵ月未満の用法がある製剤の場合、「生後3ヵ月未満の乳児」をしてはいけないことに記
載し、 用法及び用量欄には記載しないこと。〕
 
保管及び取扱い上の注意
(1) 直射日光の当たらない (湿気の?ない) 涼しい所に (密栓して)保管すること。
〔(  内は必要とする場合に記載すること。〕
(2) 小児の手の届かない所に保管すること。
(3) 他の容器に入れ替えないこと。 (誤用の原因になったり品質が変わる。)
〔容器等の個々に至適表示がなされていて、 誤用のおそれのない場合には記載しなくてもよい。〕
 
【外部の容器又は外部の被包に記載すべき事項】
 
注意
1.次の人は服用しないこと
生後3ヵ月未満の乳児。
〔生後3ヵ月未満の用法がある製剤に記載すること。〕
2. 次の人は服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
(1) 医師の治療を受けている人。
(2) 胃腸の弱い人。
(3) のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人。
(4) 今までに薬などにより発疹・発赤、 かゆみ等を起こしたことがある人。
2´.服用が適さない場合があるので、服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること
〔2.の項目の記載に際し、十分な記載スペースがない場合には2´.を記載すること。〕
3. 服用に際しては、説明文書をよく読むこと
4.直射日光の当たらない(湿気の?ない)涼しい所に(密栓して)保管すること
〔(  内は必要とする場合に記載すること。〕