健康情報: 胃苓湯(いれいとう) の 効能・効果 と 副作用

2014年6月10日火曜日

胃苓湯(いれいとう) の 効能・効果 と 副作用

漢方診療の實際 大塚敬節 矢数道明 清水藤太郎共著 南山堂刊
平胃散五苓散の合方を胃苓湯と名づけ、水瀉性下痢または浮腫に用いる。

胃苓湯(いれいとう)
蒼朮 厚朴 陳皮 猪苓 沢瀉 白朮 茯苓各二・五 桂枝二・ 大棗 乾姜各一・五 甘草一・ 
平胃散五苓湯の合方で、急性腸カタルによく用いられる。下痢・口渇・微熱界を目標とする。またネフローゼに用いて効がある。



漢方薬の実際知識 東丈夫・村上光太郎著 東洋経済新報社 刊


五苓散の加味方
(1) 胃苓湯(いれいとう)  (古今医鑑)
五苓散平胃散の合方〕
本方は、五苓散證に平胃散證(前出、裏証Ⅰの項参照)をかねたもので、平素から水毒体質の人が胃腸をこわしたために、激しい腹痛を伴う水様性下痢や浮腫を起こすものに用いられる。
〔応用〕
つぎに示すような疾患に、胃苓湯證を呈するものが多い。
一 大腸炎、胃腸カタル、食あたりその他の胃腸系疾患。
一 ネフローゼ、腎炎その他の泌尿器系疾患。
一 そのほか、神経痛、暑気あたりなど。


明解漢方処方 西岡 一夫著 ナニワ社刊
p.133

胃苓湯(万病回春)
 蒼朮 厚朴 陳皮 猪苓 沢瀉 白朮 茯苓各二・五 桂枝二・〇 大棗 乾姜各一・五 甘草一・○(二三・五)
 平胃酸と五苓散を合せて煎剤にした処方で、平胃散を主に考えたときは、食べ過ぎ、食当りで,下痢して口渇や浮腫のある場合に用い、五苓散を主に考えたときは、慢性ヌフローゼで食慾不振になった場合に用いるものでいかにも万病回春の処方らしい投網式である。



和漢薬方意辞典 中村謙介著 緑書房
胃苓湯(いれいとう) [万病回春]

【方意】 平胃散証の脾胃の気滞脾胃の水毒による心下痞・悪心・嘔吐・腹痛・腹満と、五苓散証の水証による口渇・尿不利・下痢等のあるもの。

【自他覚症状の病態分類】

脾胃の気滞
脾胃の水毒
水証

主証 ◎心下痞
◎悪心
◎嘔吐
◎腹痛

◎口渇
◎尿不利
◎下痢





客証 ○腹満

○上腹部振水音
  微熱

 





【脈候】 緩・やや浮。

【舌候】 乾湿中間で白苔がある。

【腹候】 腹力中等度。多くは腹満して心下痞硬がある。しばしば上腹部振水音を伴う。

【病位・虚実】 平胃散証も五苓散証も共に少陽病の虚実中間に位する。

【構成生薬 蒼朮3.0 厚朴3.0 陳皮3.0 猪苓3.0 沢瀉3.0 白朮3.0 芍薬3.0 茯苓3.0 
         桂枝2.0 大棗2.0 生姜1.0 甘草1.0

【方解】 平胃散の構成生薬は蒼朮・厚朴・陳皮・生姜・甘草であり、これにより脾胃の気滞・脾胃の水毒を治す。五苓散は沢瀉・猪苓・茯苓・白朮・桂枝であり水証を主る。本方はこの二方に芍薬が加味されたもので、腹痛・腹満に対して一段と有効になっている。

【方意の幅および応用】
A 脾胃の気胞脾胃の水毒:心下痞・悪心・嘔吐・腹痛・口渇・尿不利・下痢を目標にする。
  夏負け、急慢性胃腸炎、熱射病、過敏性腸症候群、胃腸神経症

【参考】 *脾胃和せず、腹痛泄瀉(単なる下痢症)し、水穀化せず、陰陽不分なるを治す。
『万病回春』
*此の方は平胃散五苓散の合方なれば、傷食に水飲を滞ぶる者に用いて宜し。其他水穀化せずして下痢、或いは脾胃和せずして水気を発する者に用ゆべし。『回春』に所謂陰陽分たずとは、太陰の位して陰陽の間に在る症を言うなり。
『勿誤薬室方函口訣』
*細菌性の下痢ではなく、食あたりの下痢に用いる薬方で、特に尿不利・顔面浮腫を伴う場合に適応がある。(細迫陽三)。

【症例 高血圧と下痢
 57歳の婦人。1年前から血圧が高くなり、一時は210/130にもなった。
 体格栄養ともに普通で、一見いかにも健康そうにみえる。患者の主訴は、上昇したり下降したり常ない血圧の動揺で、フラフラとめまいがし、肩や首すじが凝って、腰がだるく、全身倦怠感があって、よく眠れない。それと毎日2-3回の下痢便が続き、ガスが多く出て困るという。降圧剤を飲んでも血圧はどうも下がらない。
 腹は全体としては軟弱で、臍の周りに抵抗と圧痛がある。初診時の血圧は170/120であった。腹証によれば、虚証で攻撃の剤は与えられないし、柴胡剤の胸脇苦満もない。しかし陰証ではないので、『万病回春』の泄瀉門にある胃苓湯を与えた。胃苓湯は平胃散五苓散の合方である。胃苓湯の指示は、「脾胃和せず、腹痛泄瀉、水穀化せず、陰陽分たざるを治す」というものである。
 胃苓湯を2週間分服用すると、下痢が止まり、不百議と思われるほどすべての訴え、全身症状が良くなり、血圧が140/80に安定した。
矢数道明『漢方治療百話』第五集87

数年来の血尿
 39歳の婦人。主訴は5年前から尿が赤くなり,毎日のように血尿が出ていた。検査を受けたが、腎臓が両方とも傷がついていて、片方なら手術をするが、両方とも同じようであるから、手術をするわけにはいかないといわれたという。栄養は良い方で血尿が続いているにもかかわらず、顔色もそれほど悪くはない。脈も正常で血測は136/84、舌は白苔、大便1回、小便は少なく赤く濁っている。背が痛むことがあり、月経は不順で子供は3人ある。
 初診のとき長男がみたのだが、この患者に胃苓湯の生姜を去って与えた。すると1週間服用すると数年来の血尿が普通の色となった。検尿したが蛋白はなく、血尿でもない。3ヵ月飲んだところ、ほとんど正常尿となり、服薬後1回も赤くならないで元気である。私が初めにみたなら猪苓湯合四物湯などを与えたかもしれない。
矢数道明『漢方治療百話』第四集175


臨床応用 漢方處方解説 矢数道明著 創元社刊
p.541
129 平胃散(へいいさん)〔和剤局方〕
p.542
〔加減方〕
 胃苓湯。本方に五苓湯を合方したもので、急性胃腸炎による下痢に用いる。

p641
3 胃苓湯(いれいとう) 〔古今医鑑・泄瀉門〕
    蒼朮・白朮・茯苓・猪苓・沢瀉・陳皮・厚朴・芍薬各三・〇 桂枝二・五 大棗・
    乾生姜・甘草各一・〇

 「中暑、傷湿、停飲、夾食(きょうしょく)(食を夾(さしはさ)む、食の停滞)脾胃和せず、腹痛洩瀉(えいしゃ)(水様下痢)渇(かつ)を作(な)し、小便利せず、水穀化せず、陰陽分たざるを治す。」
 急性胃腸炎で、小便不利し、腹痛下痢するもの、急性腎炎・ネフローゼ・夏期の食あたり・夏の神経痛などに用いられる。



『健保適用エキス剤による 漢方診療ハンドブック 第3版』
桑木 崇秀 創元社刊


胃苓湯(いれいとう) <出典>万病回春(明時代)

方剤構成
 生姜 大棗 甘草 厚朴 蒼朮 陳皮 沢瀉 茯苓 猪苓 白朮 桂枝

方剤構成の意味
 平胃散五苓散の合方で,重複するものがないので,二つの方剤がそのまま加えられた形になっている。
 平胃散が既に強い胃内停水除去剤であるのに,さらに湿を除く代表的方剤ともいうべき五苓散が加わっているのであるから,胃内停水や腸内の水分の停滞を除く作用が強い方剤と見ることができよう。

適応
 急・慢性胃炎,消化不良,食あたりなどで下痢する場合に用いる。
 胃内停水・腸鳴・尿量減少・口渇を目標に広く用いることができるが,著しい寒虚証者には適さない。


 <
 芍薬・縮砂・黄連を加えることもある。




『健康保険が使える 漢方薬 処方と使い方』
木下繁太朗 新星出版社刊

胃苓湯(いれいとう)
健 ツ、建
万病回春(まんびょうかいしゅん)

どんな人につかうか
 食べすぎ、食あたりなどで下痢(水様性)をしたり吐いたりし、口が渇いて尿量が減っているような場合に用います。又浮腫(ふしゅ)(むくみ)のある疾患で、食欲不振になった時にもよいようです。(体力中等度の人)。
 (平胃散(へいいさん))+(五苓散(ごれいさん))の組み合わせ処方です。 

目標となる症状
症 ①水様性下痢。②口渇(こうかつ)。③嘔吐(おうと)。④腹痛。⑤みぞおちの不快感。⑥腹部膨満感(ぼうまんかん)。⑦食後の腹鳴(ふくめい)・腹痛。⑧食欲不振。⑨尿量減少。⑩浮腫(むくみ)。


腹 腹にある程度の緊張があり、みぞおちをたたくとピチャピチャ音がする(胃内停水(いないていすい))。

脈 ひどく弱くはない。

舌 不定

どんな病気に効くか(適応症) 
 水瀉(すいしゃ)性の下痢、嘔吐(おうと)があり、口渇(こうかつ)、尿量減少を伴うものの、食あたり暑気あたり冷え腹急性胃腸炎腹痛急性腎炎 
ネフローゼ、夏の食あたり、夏の神経痛。

この薬の処方
 蒼朮(そうじゅつ)、厚朴(こうぼく)、陳皮(ちんぴ)、猪苓(ちょれい)、沢瀉(たくしゃ)、白朮(びゃくじゅつ)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)各2.5g。桂枝(けいし)2.0g。大棗(たいそう)、乾姜、甘草各1.0g。(平胃散五苓散を合わせたもの)。

この薬の使い方
①前記処方を一日分としてを煎(せん)じてのむ。
②ツムラ胃苓湯(いれいとう)エキス顆粒(かりゅう)、成人一日7.5gを2~3回に分け、食前又は食間にのむ。(ツムラは芍薬ぬき)
③カネボウ(一日8.1g)前記に準じて服用する。


使い方のポイント
平胃散へいいさん)(193頁)と五苓散ごれいさん)(87頁)を合わせた処方で、水ぶとりなど水はけの悪い体質で、体力中程度の人が水様性の下痢をしたり、吐いたり、口が渇いて、腹がはったり、尿の出が悪く、胃に水がたまったような時に用います。



『重要処方解説(98)』
胃苓湯(サイレイトウ)・茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ) 北里研究所付属東洋医学総合研究所医長 花輪壽彦


胃苓湯(イレイトウ),茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)の2方は,どちらかといえば実証タイプの消化器疾患に使われる処方です。

胃苓湯・出典
 胃苓湯は平胃散(ヘイイサン)と五苓散(ゴレイサン)の合方で,一般には出典は『万病回春(まんびょうかいしゅん)』とされております。しかし矢数道明先生の『漢方処方解説』には『古今医鑑(ここんいかん)』とありますし,他の本には『丹渓心法(たんけいしんぽう)』とするものがあります。結論からいいますと、平胃散五苓散の合方としての胃苓湯は,明代の方廣(ほうこう)の編著『丹渓心法付餘』が出典であるとするのがよいと思います。『古今医鑑』も『万病回春』もともに龔廷賢(きょうていけん)の著書で,両書ともに平胃散五苓散に加芍薬(カシャクヤク)として芍薬(シャクヤク)が入っております。その理由についてはのちほど申し上げます。
 江戸時代のわが国では,龔廷賢の著書が大変よく読まれまして,後世派の人々は,胃苓湯という芍薬の入った処方を用いたようです。その意味では構成生薬の差を知った上で,胃苓湯の出典を龔廷賢の書としてもよいのですが,その場合『万病回春』は1587年に,『古今医鑑』は1576年に著わされましたので,成立年代からいうと出典は『古今医鑑』とするのがよいと思います。ちなみにツムラ115番の胃苓湯は平胃散五苓散で,芍薬は入っておりませんので,パンフレットなどにある出典の『万病回春』は誤りで,『丹渓心法付餘』に直して下さい。
 また浅田宗伯(あさだそうはく)の『勿誤薬室方函口訣(ふつごやくしつほうかんくけつ)』も『万病回春』になっておりますが,これも誤りです。ただ厳密にいうと出典はなかなかむずかしく,五苓散が『傷寒論』で,平胃散が『和剤局方(わざいきょくほう)』ですから,その2つを合わせた合方は,それ以降ならばいつでもあり得るとはいえます。ここでは一応,出典は『丹渓心法付餘』といたします。
 『丹渓心法付餘』巻七,泄瀉門の附諸方には,「暑に感じ,食を夾み,泄瀉し,煩渇するものを治す」と,簡単に胃苓湯の主治する目標があります。

■構成生脈:薬能薬理
 胃苓湯の構成生薬は当然,平胃散の構成生薬である蒼朮(ソウジュツ),厚朴(コウボク),陳皮(チンピ),大棗(タイソウ),甘草(カンゾウ),生姜(ショウキョウ)と,五苓散の猪苓(チョレイ),茯苓(ブクリョウ),沢瀉(タクシャ),白朮(ビャクジュツ),桂枝(ケイシ)の11味になります。『古今医鑑』巻三,泄瀉門には,以上の11生薬に芍薬が入ります。そしてその条文は「中暑,傷湿,停飲,夾食(食が停滞すること),脾胃和せず,腹痛洩瀉(水様性下痢),渇をなし,小便利せず,水穀化せず,陰陽分たざるを治す」とあります。「陰陽分たざるを治す」ということについては二通りの解釈がありますが,それについてはのちほど申しあげます。
 構成生薬の簡単な解説をいたします。一番重要と思われるものは,白朮と蒼朮と両方入っておりますので,この両者の違いについて簡単に述べてみます。『神農本草経(しんのうほんぞうけい)』の上品に朮と記載され,『傷寒論』『金匱要略』では朮は区別されておりませんが,江戸時代には蒼朮を用いることが多かったようです。今日では臨床的にも,また現代薬理学的にも,白朮と蒼朮は使い分けた方がよいというのが一般的であります。『本草綱目(ほんぞうこうもく)』に,水毒を去り,脾胃を健やかにする点は白朮も蒼朮も同じであるが,蒼朮は発汗作用があり,白朮は止汗作用があると区別しております。
 現代中医学では白朮と蒼朮の違いを簡単に,白朮は補脾,蒼朮は運脾(脾をめぐらす)ということで両者の差を述べております。白朮はやや甘く,虚を補う作用があり,蒼朮はやや苦く,実邪を去る作用が強いというわけです。ですから私どもが実際に臨床に使う場合には,健脾,整腸,止瀉というか,胃腸を丈夫にするという意味では白朮の方が働きが強く,解熱,鎮痛,湿を乾かす,発散作用というものは蒼朮の方がよくて,胃腸を丈夫にするという意味では白朮の方がよいというのが臨床的な使い方です。ただし白朮と蒼朮は,本方のごとく一緒に用いることも少なくありません。
 現代薬理学の立場からも,白朮と蒼朮については多くの知見が報告されるようになりました。2,3述べてみますと,例えば両者とも利尿作用がありますが,利尿効果につ感ての知見は一定しません。どちらも利尿作用があるという報告と,あまり利尿効果はみられなかったという報告と,水を過剰に負荷した時にはみられるという報告などで,一定しません。中枢作用については,蒼朮にはあるが,白朮にはないと報告があります。すなわち蒼朮中のβ-eudesmol,hinesolなどには鎮静作用,抗痙攣作用などの中枢抑制作用があるという報告があります。
 抗炎症作用についての報告もありますが,一般に私どもは,例えば葛根湯加朮附湯(かっこんとうかじゅつぶとう)の朮は蒼朮をよく用いますので,抗炎症作用は蒼朮の方が強いのではないかという臨床的な印象を持っておりましたが,現代薬理の報告では,むしろ抗炎症作用は白朮に強く,蒼朮にはほとんど認められないという報告が多いようです。例えばadjuvantによる関節炎の抑制効果などついては、蒼朮はむしろ増悪させるという報告もあります。
 消化器作用についてもいろいろな報告がありまして,朮の種類によって,例えば白朮類,フルダテ蒼朮,西北蒼朮などの違いによって,ストレス潰瘍における効果などをみても大変違うようです。白朮類はストレス潰瘍に有効であるが,ヒスタミン潰瘍には無効であるとか,フルダテ蒼朮はH,H-receptor拮抗作用があって,ヒスタミン潰瘍に有効であるとか,西北蒼朮はセロトニン潰瘍に有効である等々いろいろな報告があります。
 また肝害護作用なども認められるようになりまして,白朮のatractyloneは四塩化炭素肝障害を抑制するとか,蒼朮にも肝障害抑制作用があるなど,いろいろな報告があります。これらの知見は今後の臨床応用に際して,いろいろ有用な知見となる可能性が高いと思感ます。
 白朮,蒼朮以外には厚朴が大事な生薬ですから簡単に申し上げます。厚朴は『神農本草経』の中品にあり,古来より鎮痛,鎮静作用があるとして,消化器疾患や神経疾患によく用いられました。中国産の厚朴と和厚朴(ワコウボク)は基源植物が異なります。日本産はモクレン科ホオノキの樹皮を用います。私どもが臨床的に用いる時は胸腹部の膨満,疼痛,あるいは鎮咳,不安,また精神的緊張による骨格筋の異常緊張状態の緩和などに用います。パーキンソン病などにもよく用います。
 薬理学的にはクラーレ様作用,ジフェニール化合物のmagnololおよびhonokiolに中枢抑制作用があるとか,種々の細菌に対する殺菌作用があるとか,いろいろな知見が報告されております。特に最近は厚朴の抗アレルギー作用が注目されており移す。
 構成生薬中の五苓散は,全体として利水作用を持つとされております。 利尿と利水の相違はよく問題になるところですが,簡単に申しますと,利尿は腎に働いて一方向的に尿量をふやすのに対して,利水は水分の偏在を正すというようによくいわれます。現在の薬理学的実験では,利尿作用それ自体はそれほど強くはないとする意見が多いのですが,たとえば猪苓,茯苓は水を家量に負荷する時には非常に多くの利尿効果を認めるとする報告が多いようです。利水と利尿の違いの1つとして大事なことは,例えば五苓散は現代医学の利尿剤の持つ経腎的な尿排泄作用以外にも,数多くの薬理学的作用点を持っているということだと思います。その1つとして例えば,水分の吸収作用,抗炎症作用,免疫調節作用などの腸管に対する作用が,利水ということの科学的根拠として,いろいろ知見が出てくるのではないかと考えます。
 一般には利尿作用はいわゆるループ利尿剤などに比べて落ちるといわれておりますが,必ずしもそうではなく,例えば肝硬変,ネフローゼ,心不全など重症な病態に対して,現代医学的に利尿剤がうまく効かないようなところに,五苓散などが非常によく効くことを臨床的に経験しておりますので,利尿効果という効果についても,必ずしも現代医学の利尿剤に劣るとは一概にいえないと思います。
 五苓散を構成する生薬の薬理の中で,最近注目されていることを一言申し添えますと,たとえば猪苓(サルノコシカケ科チョレイマイタケの菌核)は,その中の多糖類,水溶性グルカンに抗腫瘍活性のあることが注目されております。また茯苓(サルノコシカケ科マツホドの地中にできた菌体成分)の多糖にも,種々の免疫学的活性があり,根癌作用の報告などもあります。しかし茯苓についての研究報告は意外に少ないようです。沢瀉(サジオモダカの根茎)は利尿作用以外に,抗脂肪肝作用,コレステロール低下作用,循環器作用などいろいろな報告があります。

■古典における用い方
 それらの入った胃苓湯について説明してみたいと思います。古典による用い方は,18世紀から19世紀の初めにかけて活躍した浅井貞庵(あさいじょうあん)の書いた『方彙口訣(ほういくけつ)』が参考になるかと思い移す。この中で「胃苓湯は分利剤である」と述べております。その意味は胃苓湯は脾胃に水湿が滞って,小便に出るべき水分が大便の方に行ってしまうため下痢をするので,水分は陽道である尿路に,カスは陰道である大便の側に分ける処方である,平胃散で脾胃の湿を乾かし,余分な水は五苓散で小便へという方意であると述べております。
 浅井貞庵の『方彙口訣』にある胃苓湯は,出典を『万病回春』としておりまして,したがって構成生薬の中に芍薬が入っております。芍薬の意義につ感て,「芍薬は津液の関閉(しまり)をつける」と述べております。この意義は大事なことでして,単に利尿として,どんどん水を出すのではなく,一方で津液を保持するという作用を持ちながら余分な水をさばくということです。真武湯(シンブトウ)にも芍薬が入っております。真武湯を利尿剤と考えるならば,芍薬は入らない方が利尿作用は強いといえますが,そのあたりが漢方処方の面白いところで,芍薬を入れて体液の保持をしながら,余分な水をさばくというところが面白いと思います。
 先ほど『古今医鑑』の出典のところで「陰陽分かだるを治す」といったのは,1つにはこういう意味であるということです。「陰陽不分」について、浅田宗伯の『勿誤薬室方函口訣』の中では「『回春』に所謂陰陽不分とは,太陰に位して陰陽の間に在る証をいうなり」といっております。つまり陽証と陰証の中間にある証であるといった別の解釈をしております。これも1つの見解だと思います。なお蛇足ながら,浅田宗伯は「平胃散は後世派は称美すれども顕功はなし」と評しております。

■現代における用い方
 現代における胃苓湯の中では用い方は,矢数道明先生の『漢方処方解説』に簡潔に述べてあります。すなわち,急性胃腸炎で小便不利し,腹痛,下痢するもの,急性腎炎,ネフローゼ,夏期の食あたり,夏の神経痛などに用いるとあります。
 平胃散四君子湯(シクンシトウ),人参湯(ニンジントウ)のように胃腸の働きが衰えて湿邪が停滞するのではなく,食べすぎ,飲みすぎなどによって胃内に実邪としての食毒,水毒が停滞して,それが盛り上がっているような形になっているものを平らにするということが,平胃の方意であります。一般の,そのような胃腸疾患に用いる以外に,矢数先生はこの処方を鼻アレルギーに用いたことがありました。それを見ておりまして,私も鼻アレルギーに胃苓湯を使ってよい結果果得た症例があります。


■症例提示
 36歳の女性で,本来胃腸が丈夫ではなく,5年前に横浜に引越してから,季節の変わり目にクシャミ,鼻水が出て困った。漢方薬局へ行ったところが小青竜湯(ショウセイリュウトウ)を出されたが、それを飲んで胃腸をこわしてしまった,何とかしてほしいと来院しました。腹力はやや虚で,胃内停水が多少みられ,臍傍の動悸があり,臍傍の圧痛はありませんでした。舌は湿っており,白苔があります。というわけで麻黄(マオウ)はあまり使わない方がよいと考え,胃苓湯で心下の水をさばこうとしました。そうしたところ胃腸症状も鼻アレルギーも改善したという症例です。このように鼻アレルギーという病名にとらわれずに,水毒の偏在を正しながら水をさばくという用い方が,本来の漢方薬の使い方で,非常に面白いと思います。




※葛根湯加朮附湯(かっこんとうかじゅつぶとう)? 
→葛根加朮附湯(かっこんかじゅつぶとう)

※adjuvantによる関節炎の抑制効果などついては、
→adjuvantによる関節炎の抑制効果などについては、

※フルダテ蒼朮? → 古立蒼朮(コダチソウジュツ)

※平胃の方胃? → 平胃散の方意?



『勿誤薬室方函口訣(5)』
北里研究所附属東洋医学総合研究所部長 大塚 恭男
-葦茎湯・已椒黄丸料・痿証方・・胃風湯・胃苓湯・郁李仁湯(聖恵)・郁李仁湯(本朝経験)-

胃苓湯
 次は胃苓湯(イレイトウ)です。これは『万病回春』に載った処方です。「脾胃和せず、腹痛泄瀉、水穀化せず、陰陽分かたれざるものを治す」とあります。厚朴(コウボク)、橘皮(キッピ)、甘草(カンゾウ)、蒼朮(ソウジュツ)、猪苓(チョレイ)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、桂枝(ケイシ)の八味より成ります。
 「この方は平胃散ヘイイサン)、五苓散ゴレイサン)の合方であるから、平胃散の目標する食あたりと、五苓散の目標とする水毒が加わったものに用いてよい。その他食物が消化しないで水のように下ってしまうもの、あるいは消化機能一般の不調で下痢を起こす場合に用いなさい。『万病回春』にいっている陰陽分かたれずとは、この目標は太陰が病位で、陰陽の間にある症である」ということであります。胃苓湯は、ここに巧みに記されてありますように、平胃散五苓散の証が合わさったような感じのものによく使われます。

『Kampo Square 38号』 2006.12.25発行
緊急特集:ノロウイルス感染症と漢方 
大野クリニック院長(埼玉県比企郡)       大野 修嗣 先生に聞く

悪心・嘔吐・下痢で
・熱なし、弱脈でない、心下痞硬がある場合→半夏瀉心湯
・熱なし、弱脈でも良い、腹部の冷え→人参湯
・熱あり、弱脈でない、胃内停水→五苓散
・熱あり、弱脈でない(弦脈が良い)、胸脇苦満→柴苓湯
・熱少、弱脈でない、上腹部膨満感→胃苓湯



『Kampo Square 47号』 2007. 5.10発行

連載 --- 私の漢方診療日誌(35)---  

なにやら厚生労働省は、医療費削減に向けて2012年度までにメタボリック症候群の該当者を10%以上減少するという数値目標を設けたそうである。昔から「腹八分に医者いらず」という諺がある。健康診断を推奨するよりも、ちょっとだけ少食を心がけるように呼びかける方が効果的ではないかと思ったりする。  しかし食べ過ぎないのに胃腸をこわす人は、これこそ明らかな病気であり、漢方薬は素晴らしい効果をもたらしてくれる。今回は、これからの暑い季節にはなくてはならない胃苓湯のお話しである。

食傷と下痢を2処方の合方で解決
食べ過ぎ、飲み過ぎには胃苓湯

ももち東洋クリニック院長 木村豪雄

 A氏は55歳の男性でツアーコンダクターとして活躍している。6ヶ月前から毎朝といってよいほど食後2時間経つと下痢をするということで来院された。下痢の性状は水様性で臭いは少ないが、左下腹がシクシクと痛むことがある。「卵が合わないのかな?」とも云われる。既往歴に胆石症があるが、これまでに疝痛発作のような激しい痛みは経験したことはない。

 身長167cm、体重70kg。体格は中等度で栄養状態は良好である。血液検査では肝胆系酵素に異常はなかったが、高脂血症(総コレステロール224mg/dl、中性脂肪366mg/dl)と高尿酸血症(尿酸8.9 mg/dl)がみられた。漢方医学的所見では、脈は弦脈(浮沈間)で、舌には乾いた白黄苔がついている。腹診では腹壁の緊張は良好である。心下部がパンと堅く張っており、軽く揺さぶるとチャポチャポと音がする(振水音)。

 ツムラ胃苓湯(イレイトウ)(J-115)7.5g/日を処方する。

◇8日後再診  下痢は毎日しなくなった。腹痛もない。
◇1ヶ月後  尿の回数が増えた。腹痛はなく、ときに油物を食べると腹が緩む。
◇2ヶ月後  下痢はまったくない。「漢方っていいものですね。妻も診てください」と云われる。血液検査を再検すると、総コレステロール207mg/dl、中性脂肪216mg/dl、尿酸7.8 mg/dlと改善傾向にあった。

 さて、紹介されたA氏の奥さんは48歳。4~5年前から月経痛がひどくなり、経血量も多くなったのが悩みであった。婦人科では子宮腺筋症と診断された。

 こちらは手足の冷えと浮腫を目標に、ツムラ当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)(TJ-23)7.5g/日で月経痛は楽になった。今では二人で仲良く漢方薬を飲んでいる。一度、間違って妻の漢方薬を飲んだ夫が、「うちの奥さんはあんな不味い薬をよく平気で飲めますね」とこぼしたことがあった。なるほど薬の味も大切である。

考案
 胃苓湯は平胃散(ヘイイサン)と五苓散(ゴレイサン)の合方である。平胃散は“食傷”の基本方剤と云われている。食傷とは飲食物によって身体が傷つけられたという意味で、平たくいえば食べ過ぎ、飲み過ぎ、冷たいものや刺激物などによって消化器が侵されるものを指す。(山本厳:東医雑録2)
 この患者さんの場合、食後に調子を崩すということから広い意味の食傷と考えて平胃散をイメージした。さらに下痢を伴うことから五苓散を合わせた胃苓湯を選択した。
 胃苓湯は平素体質的に水はけの悪い体質(水毒)の人が腹をこわしたため、水分の吸収が悪くなって食物が不消化のまま水様便として下るもので、口渇、胃内振水音、腹がはり、尿量減少の症状があるものに用いる。腹痛はあまり激しくなく、また痛まないこともある。(一般用漢方処方の手引き:薬業時報社)

 下痢に対する漢方治療も病態の陰陽を基本として考える。陰証とは冷えが主体の病態である。陰証の下痢の特徴は臭いが少ない水様性下痢が多く、腹痛や裏急後重(しぶり腹)を伴わない。代表方剤には真武湯(シンブトウ)や人参湯(ニンジントウ)がある。一方、熱が主体となる陽証の下痢は、腹痛があり下痢の臭いも強いことが多い。さらに排便するときに肛門に灼熱感があり、排便後もスッキリ感がない。黄芩湯(オウゴントウ)が代表である。


『漢方後世要方解説』 矢数道明著 医道の日本社刊

p.126
10 胃苓湯(イリヨウトウ) (古今医鑑 泄瀉門)

 〔処方〕  蒼朮 厚朴 陳皮 猪苓 沢瀉 白朮 茯苓 芍薬各二・五 桂枝二・〇 大棗 生姜 各一・五 甘草一・〇 (多く茯苓、沢瀉を増量して用う)
 本方は、平胃散五苓散との合方にさらに芍薬を加えたものである。

 〔主治〕 胃苓湯の主治として古今医鑑に、「中暑、傷湿、停飲、脾胃和セズ、腹痛洩(セツ)瀉渇ヲ作シ、小便利セズ、水穀化セズ、陰陽分タザルヲ治ス」とある。
 また医療手引草には、「飲食停積、浮腫、泄瀉、脈証倶ニ実ナル者ヲ治ス」とあり、
 また牛山方考には、「飲食過多ニシテ、腹脹リ口渇泄瀉、小便赤渋ノ症ニ奇効アリ」と述べている。
 これらの諸説は本方の主治をよく約言していると思われる。

 〔運用〕 勿誤方函口訣に、「此ノ方ハ平胃散五苓散ノ合方ナレバ、傷食ニ水飲ヲ帯ブル者ニ用ヒテ宜シ。其他水穀化セズシテ下利、或ヒハ脾胃和セズシテ水気ヲ発スル者ニ用ユベシ。回春ニ所謂陰陽分タズトハ、太陰ニ位シテ陰陽ノ間ニ在ル症ヲ云フなり」とある。
 また校正方輿輗、泄瀉門には、「時節ニ拘ハル所アラザレドモ、胃苓湯ノ症ハ夏秋ノ際ニ多キモノナリ」とあり、
 また、医療衆方規矩には、
 「脾胃調ラズ、暑湿飲ムモノナヅミ腹痛ンデ瀉(クダ)り、飲ムモノ食フモノ化(コナ)サズ、陰陽ヲ分タズ、水ノカハリテ中ルヲ治ス。一切ノ泄瀉ヲ治スルノ総司ナリ。夏月ニ初メハザツト下シテ、後ニ渋リコヽロヨカラズト云フモノ此ノ湯ヲ用ユベシ。又夏月痛風ヲ患フ、按ズルニ暑湿ニヨツテ身骨節イタム故ナリ、此湯ヲ用ヒテ瘉ユ。或人語ツテ云ク、此方ハ四五月ヨリ八九月ニ至テモパラ用ユ、何トナレハ暑湿ヲ治スルノ故ナリ」と述べている。
 また、医方小乗、泄瀉門には、「飲食過多ニシテ腹脹口渇シ、小便渋ツテ裏急後重、赤白下利スルニ、胃苓湯ニ黄連、芍薬ヲ加エテ用ユベシ、裏急甚シキモノニハ木香、檳榔ヲ加ヘ用フベシ。
 夏ノ痢病ノ始メニハ胃苓湯ニテ暑湿ヲ去ルベシ。腹熱アルニハ解毒湯ヲ合シテ、渋ルコト甚シキニハ枳実大黄湯ヲ加フベシ」とあり、
 また、牛山方考には、
 「元禄四年五六月ノ間、長雨ニテ士民尽ク暑湿ノ気ニ感ジテ頭痛裂クガ如シ、余為メニ一方ヲ製ス。胃苓湯に柴胡、黄芩を加ヘテ本トシ、熱甚シク大便秘セバ黄連、石膏を加フ。大便泄するには白扁豆、升麻ヲ加フ、腹痛ニハ木香、砂仁ヲ加フ、咽渇ニハ葛根ヲ加フ、頭痛ニハ羗活、川芎ヲ加フ、眼中黄ムニハ茵蔯ヲ加エテ之ヲ用フルニ手ニ応ジテ效あり。津城三千戸及便ビ国中ノ人、其霊方ノ応験ヲ聞キ伝ヘテ薬ヲ乞フ者門ニ満ツ、毎日此方ヲ修合シテ人ニ与フルコト百ヲ以テ数フ。奇々妙々」とある。
 また、当荘庵家方口解には、
 「四時トモニ大便瀉スル主方ナリ。無熱ニハ木香ヲ加フ、食モ少シ滞リ大便瀉スルニ吉(ヨ)シ。平胃散ニテ脾胃ヲスカシ、食ヲ圧エテ分利スル故ニ水道ノセキキレ水流ルヽ意也。水腫脈進而力アルニ加車前子、木通、燈心ヨキコトアリ。脈進マズ弱キハ脾腎ノ元陽虚冷ナリ、用フベカラズ。胸フクレ不食スルニ加檳榔子ヨキコトアリ。是ハ脾胃モ少シ塞リ大小腸和セズ、故ニ胸フクレ不食シ湿ニモアタルユヘナリ。夏秋ノ間此ノ如キコトアリ」とある。
 また和漢纂言要方には、
 「亀渓先生ノ曰ク、総ジテ痢ニ初メヨリ驟(アワテ)テ芍薬湯(芍薬二・〇 当帰一・〇 黄芩一・〇 大黄〇・七 ケイシ〇・七 木香〇・七 檳榔〇・七 甘草〇・五)ヲ用ユレバ、却ツテ腸胃ヲ害シ難治ノ症トナルコト多シ、殊更小児ナドノ痢病ニハ此方ニ木香、黄連ナドノ加味ニテ療スベシ。丹渓先生ノ曰ク小児ノ血痢ハ食積ナリト豈妄リニ河間ノ芍薬湯ヲ用ユルコトヲセンヤ」と述べている。

 〔薬能〕 名医方考には、「湿盛ニシテ泄瀉スル者コレヲ主ル。蒼朮 厚朴 陳皮 甘草は平胃散ノ味ニシテ湿ヲ乾カス所以ナリ。白朮 茯苓 猪苓 沢瀉 桂枝ハ五苓散ノ味ニシテ湿ヲ利スル所以ナリ」とある。
 また、和漢纂言要方には、「通仙先生ノ曰ク、古方胃苓湯ニ芍薬ナシ後哲此ノ味ヲ加フルモノハ此薬味酸クシテ能ク肝ノ陰気ヲ収歛シ、中焦脾胃ヲ補ヒ、瀉ヲ治スル故ナリ」とある。

 〔応用
 (一) 急性胃腸炎-殊に大腸炎で腎臓機能障碍を伴い、小便利せず腹痛泄瀉を発し、俗に云う夏期の食あたりというものに多くこの症がある。時に軽度の血便粘液便等を混じ、少し裏急後重を訴えるものには、黄連、木香、檳榔を加えて用いる。脈証は多くは沈で力があり、腹証も相当抵抗があるものである。舌は多くは白苔である。
 (二) 浮腫-食傷から来る急性腎炎や、下利し易いもの。
 (三) 夏期の神経痛 リウマチの類。




副作用
1) 重大な副作用と初期症状
1) 偽アルドステロン症 :低カリウム血症、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の偽アルドステロン症があらわれることがあるので、観察(血清カリウム値の測定等)を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行う。

2) ミオパシー :低カリウム血症の結果としてミオパシーがあらわれることがあるので観察を十分に行い、脱力感、四肢痙攣・麻痺等の異常が認められた場合には投与を中止し、カリウム剤の投与等の適切な処置を行う。

[理由]〔1)2)共〕
厚生省薬務局長よ り通知された昭和53年2月13日付薬発第158号 「グリチルリチン酸等を含有す る医薬品の取り扱いについて」 及び医薬安全局安全対策課長よ り通知された平成9年12月12日 付医薬安第51号 「医薬品の使用上の注意事項の変更について」 に基づく。


[処置方法]
原則的には投与中止により改善するが、血清カリウム値のほか血中アルドステロン・レニン活性等の検査を行い、偽アルドステロン症と判定された場合は、症状の 種類や程度によ り適切な治療を行う。 低カリウム血症に対しては、カリウム剤の補給等により電解質バランスの適正化を行う。



4) 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸: 劇症肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、Al‑P、γ‑GTP 等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う

 [理由]
本剤によると思われる劇症肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、Al‑P、γ‑GTP等の著し い上昇を伴う肝機能障害、黄疸が報告されている(企業報告)ため。
(平成24年1月10日付薬食安発0110第1号「使用上の注意」の改訂について に基づ く改訂)


[処置方法]
 原則的には投与中止により改善するが、病態に応じて適切な処置を行う。

2) その他の副作用
過敏症:発疹、発赤、瘙痒等

このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。

[理由]
本剤にはケイヒ(桂皮)が含まれているため、発疹、 発赤、瘙痒等の過敏症状があらわれるおそれがあるため。

[処置方法]
原則的には投与中止にて改善するが、必要に応じて抗ヒスタミン剤・ステロイド剤投与等の適切な処置を行うこと。

【医療用漢方製剤 】
商品名 製造販売元
発売元又は販売元
一日 製剤量
(g)
添加物 剤形 効能又は 効果 用法及び用量 蒼朮(ソウジュツ) 白朮(ビャクジュツ) 厚朴(コウボク) 陳皮(チンピ) 猪苓(チョレイ) 沢瀉(タクシャ) 茯苓(ブクリョウ) 桂皮(ケイヒ) 大棗(タイソウ) 生姜(ショウキョウ) 甘草(カンゾウ)
1 ツムラ胃苓湯エキス顆粒(医療用) ツムラ 7.5 日局ステアリン酸マグ ネシウム、日局乳糖水 和物 顆粒 水瀉性の下痢、嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴う次の諸症:
食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛
食前又は食間
2~3回
2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.0 1.5 1.5 1.0

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